女性誌『Suits WOMAN』で注目を集めた「貧困女子」。これは普通の毎日を送っていたのに、気がつけば“貧困”と言われる状態になってしまった女性たちのエピソードです。 今回お話を伺ったのは、中野区内にある飲食店に勤務している中村杏奈さん(仮名・35歳)。

彼女は私大の雄と呼ばれる大学を卒業しています。 東北出身らしく、肌が抜けるように白く、セミロングのストレートヘアはつややか。どこかタレントの壇蜜さんに似ています。ほっそりしているのにバストが出ている肉感的なスタイルに、白のシフォン素材のブラウスと、デニムのパンツが似合います。バッグはフランスのハイブランドのカラフルな家紋柄。タバコが手放せないらしく、アイコスをしきりに吸っています。

「大学時代から、夜の仕事をしていていました。一時期はそれだけで仕事をしていたのですが、27歳の時、当時付き合っていた人に説得されて、フツーの会社の正社員になりました。でも、手取りが月17万円とバカみたいに安くて生活ができず、夜の仕事も続けてしまい、2年で昼職を退職。一日働けば、3~4万円になることを知ってしまうと、なかなか地道なOLの仕事はできませんよね」

取材場所の喫茶店の窓際の席は、陽光が差し込んできます。杏奈さんは確かに美しいのですが、太陽の光にさらされると、シワ、クマ、シミ、白目のにごり、歯の黄ばみなどを際立たせます。

ウシジマくん的な作品世界が他人事ではないと感じる……

「去年までは月30万円くらいは稼げたんですけど、今年からは全然ダメ。20代のコじゃないと仕事にならない時代なんですね。“用済み”という感じがあって、別のお店に転職しないと思っています。先月の収入なんて16万円ですよ。食べるものも食べられないから、タバコばかり吸っています。借金もあるから、『闇金ウシジマくん』が他人事ではありません」

そもそも、杏奈さんはなぜ夜の仕事の道に入っていったのでしょうか?

「もう、なんというか、“新宿”って街にハメられて、カードローンを返済しなくちゃいけなくなったからです。私の大学は新宿に近く、下宿も大学の近くの女子アパートを借りていました。大学が終わって、自転車に乗ってたった10~20分くらいの場所に、夢みたいな世界が広がっているんですよ。というのも、私は街にお店がスーパーマーケットが1軒しかない田舎で育ったから、あんなにたくさんモノがある場所に行くと、おかしくなりますよ。買い物に対して免疫がないんです。

可愛いものが街にあふれかえっているから、買いたくて、買いたくて我慢できなくなっちゃうんですよね。親元を離れたさみしさもあり、東京のひとり暮らしのワクワク感もあって、親のカードを使って、バンバン買い物をしてしまったんです」

杏奈さんは高校2年で中退し、一時期引きこもりになっていたこともあるそうです。しかし、いとこのアドバイスで当時の大検(現在は高等学校卒業程度認定試験)を受け、19歳の時に名門大学に合格。それを機に上京します。両親は地方の地主だといいますが、娘の月20~30万円のカード支払いを続けるほど金持ちではありません。

「一度、買い物の楽しさを知ってしまうと、止められません。海外セレブがデザインしたバッグを買えば、それにふさわしい雑誌に載っている新作ワンピースが欲しくなる。限定デザイン・カラーの靴、可愛い雑貨、おしゃれなカフェご飯……そんな生活を続けて半年くらいで、親からカードを取り上げられてしまったので、自分でバイトをすることにしました。朝はホテルの朝食配膳、夕方から居酒屋さんでシフトをみっちり入れたのですが、月15万円にもなりません。当時、私は自分で学生用のクレジットカードを作ったのですが、キャッシングの2万円の枠はすぐにいっぱいになっちゃうし、買い物枠の18万円なんてすぐに終わってしまう。当時、カードの支払い方法は、一括払いしかないと思っていたから、百貨店のカードカウンターに支払いの相談に行ったんです。そこで、3回の分割払いを設定してもらい、ホッとして帰る途中に、スカウトの人から声をかけられたんです」

1か月100万円稼ぐという、歌舞伎町の女王の時期は2年間続いた。

イケメンホスト風のスカウトに声をかけられた田舎娘はどうなるのか……〜その2〜に続きます。