コンサルタントという仕事柄、これまで数多くの企業、そして「世の中のお金の動き」を見つめてきたメルマガ『FRI Magazine』の著者・河合拓さん。今回は企業経営の話からちょっと外れ、働きながらきっちりと増やすことができる「資産運用」のセオリーを、株をやったことがないレベルの人にもわかりやすく解説して下さいました。これを機に、あなたも資産運用について、考え直してみてはいかがでしょうか?

2017年 あなたの資産はこうして増やせ

先の見えない時代になった。メディアは連日のように将来不安を煽り、株価も一進一退。アベノミクスもその効果は限定的になってきたように思う。

これからは、自己防衛の時代になる。経済が成長しないのだから給与は上がらない。となると、自分の資産をしっかり運用しなければならない時代になってきたのだ。しかし、ネットや書店にいくと「株屋」が書いた営業まがいのものか、宝くじにあたっただけのようなデイトレーダーが書いたものしかなく、我々ビジネスマンが仕事をしながらしっかり基本を守りながら資産を増やすための手引は意外に少ないことに気づく。

また、「貯蓄」から「投資」へという割には、私の周りの働き盛りの30〜40代のビジネスマンは、「投資する余裕などない。日々の生活で精一杯」という感じで、優雅に投資などやれる余裕資金などないのが実情。ここから見ても、いかに、世の中の論調が現実の世界とずれているか、感じられている人も多いと思う。

そこで、普通のビジネスマンとして資産運用をきっちりやってゆくセオリーを書こうと思う。

まず、世の中の基本的なお金の流れを理解する

これからきっちり投資を行っていこうと思う人は、世の中をこのように見ると良い。まず、世界にはお金が溢れており、「より良い場所」を見つけて動き回っているということだ。その場所は、大きく4つある。一つは、アメリカ、もう一つは日本、そして、アジア、ヨーロッパである。アメリカ、日本、アジア、ヨーロッパ。これから投資をする人は、この4つを頭に叩き込んでおこう。(アジアは、グレーターチャイナ、韓国、台湾、東南アジアに別ける)

例えば、今年の8月にイギリスのEU離脱の選挙があった。その後、世界のお金はヨーロッパから逃げていき、安全といわれている日本の円に向かった。円高が進んだ要因だと説明される。投資というのは簡単にいえば、「次のお金の動き」を予想して、「次の場所を安く買って待っておくこと」だ。世界のお金は余っているのだから、必ず、アメリカ、日本、アジア、ヨーロッパのどこかに動く。そして、その場所には、「株」、「債権」、「不動産」、「コモディティ」などいろいろな投資対象がある。世界のお金は、それらの中で「最も膨らみそうなもの」を目指すのだ。

株というのは、企業である。したがって、企業の業績が上がれば株価は上がる。株式投資をする場合、企業の性質を見極めよう。大きく分けて、企業には「内需、輸入型」と「外需、輸出型」に分かれる。内需、輸入型というのは小売企業や消費財を扱っているメーカーで、その国の国民向けにビジネスをやっている企業だ。日本の外食産業、家具、スーパー、コンビニなどはすべてそうだ。これに対して、外需、輸出型というのは、トヨタ、パナソニック、ソニーなど、世界中に製品を輸出して儲けている企業である。当然ながら、円高になれば内需型企業は業績が好調になるし、円安になれば外需型が好調になる。

イギリスのEU離脱時に、世界のマネーが日本に向かったように、世界から日本の円は「何かあった時の避難場所」と思われている。日本は大胆なことは何もしない国だから、大きく不況になることもないが成長することもない。だから、行き場を失えば円は買われて上昇する。

実は、円が上昇すれば、ユニクロやニトリなどの内需型産業が儲かるのだが、自民党は外需産業を儲けさせたがっている。理由は、日本国内の市場は飽和しており成長しにくいからだ。だから、安倍首相は、無理やり円を安くして、外需、輸出型産業を儲けさせたがっている。

ここが難しいところである。つまり、政府が何もしなければ円はどんどん上昇し、日経平均は14000円代ぐらいまで下がるだろう。しかし、そうしたくないので借金をしながら国が株を買って日経平均を上げる。世界の金の動きと逆の動きを日本政府がやっている。この結果、円が100円という上昇基調にあるのに、日経平均は16500円-17000円をうろついているという「ねじれ」になっている(8月執筆時)。 

株式市場を動かしているのは外国人投資家

実は、日本の株式市場で日本の個人が売買している量というのは15%ぐらいしかない。残りの圧倒的な割合は、外国人の投資家か企業が株の売買をやっている。上記のように、株価が日本政府の介入で「想定以上に」高止まりし、かつ、いびつな円高のままになっているため、「市場最安値」といわれている日本株が膠着状態になっており動かないのだ。

今、日本株は未曾有の安値となっている。株価の高さを表す指数にPBRとPERがあることは、前回のメルマガで説明したとおりだ。私は、経営コンサルタントという立場から、PBR信者である。PBRというのは、簡単にいえばB/S。PERはP/Lである。日本企業の殆どは、ビジネスモデルが破綻しているので、抜本的なリストラクチャリングが必要となってくる。その場合、最も必要な原資は見かけ上の収益でなく財務健全性だ。だから、我々が中長期投資を行う場合、PBRを見るべきなのだ。今、日本の大企業の多くはPBRの1割れを起こしている。

例えば、総合商社、銀行などは、ほぼ全滅に近く0.7ぐらいだ。これは、どういうことかというと、これ以上営業を続けるぐらいなら会社を清算して、お金を株主に分け与えなさい。そちらのほうが良いでしょう、という意味なのである。

しかし、三菱商事や三井物産、三菱UFJなどが、存在意義がないなどということはありえない。商社に関して言えば、資源安の影響で赤字になったこと。銀行で言えば政府のマイナス金利政策で利益が出なくなったことが原因だ。つまり、株価が安い理由がはっきりしているのである。アベノミクスがこのまま続き、かつ、成功すると思っている人は今の状況を受け入れるだろうが、私のように「最後は、経済は最適化される」と考える人間にとっては、いくら日本政府がふんばろうが、中長期的にこれら「割安株」は落ち着く場所に戻る(つまり上昇する)と考える。プロの投資家に、我々素人の投資家が勝つ唯一の方法は、長期に株を持つということだ。プロはクライアントから資金を集めて投資をするため、短期に株価をあげて売らなければならないが、我々は必要あれば10年だって持っていればよい。商社や銀行が、この先10年PRBで1以下で居続けるなんてことはあり得ない話だ。だから、必ずこれらの株は(いつになるかわからないが)上がるのだ。

例えば、伊藤忠商事の場合、外資のファンドが粉飾決算を指摘し、空売り(株が下がれば儲かる売買)宣言をした。また、私が持っているある小売企業の株が、外資ファンドが「買い銘柄」に指定した瞬間、一気に上昇率トップ10に入った。このように、外資ファンドや政府は、市場の自然な流れを歪めることをするため注意が必要だ。何が作為的なのか、何が自然なのか。ここを見極め、「自然な流れ」に中長期でお金を張る。これが、我々一般ビジネスマンがやるべき(プロに勝つ)投資戦略である。短期的な、かつ、作為的な株の売買に流されデイトレードまがいのことをしてはならない。勝ち続けると信用取引(お金を借りてリスクを高め

る手法)などに手を出すが、株の値動きにたっぷり時間を避ける人でなく、きちんと本業をもっているひとであればそんなこともすべきではないだろう。

私も、例えば原稿執筆時に無印良品など、私が将来有望視している株が(実力値でない理由で)落ちているのを見て、信用取引の甘い誘いに何度もウェブのボタンを押しそうになったので気持ちはわかるが、勇気を持ってやめた。

投資オペレーションをルーチン化 

こうした世の中の流れをつかむためには、毎朝、日経新聞のマーケット情報に目を通す癖をつけよう。例えば、米国の株価が上がると、よく日は必ず米国向け輸出関連企業の株価が上がる。多くの輸出企業は為替予約をしているから、少々円高になっても株価が上がる。

株価が一定以上上がると面白いことが起きる。今までずっと赤字で踏ん張っていた人たちが、一気に株を売りに出し「利益確定」を始める。そうなると、反動で株価が下がるのだ。ただ、今は株価が下がると日銀がETF (日経平均の代表株)を買うので、株価が動かない(2016年8月時点)ため、この法則が成り立たない。逆に言えば、日銀がETF買いをやめることを決定したら、株価は落ちるだろう。そうなれば、自分の目で判断し、優良銘柄を選んで買いに出る。あとは、1年、5年と待って成長を見守る。

株式投資をやるときに注意しなければならないのは、リターンのパフォーマンスを予め自分で決めておくことだ。例えば、年5%ぐらいの割合で増やしたいと思うのであれば、株価が5〜10%ぐらい上がったら利益確定してしまうということだ。この時、「まだ上がるんじゃないか」とか、「もっと突っ込もう」と考えず、想定された利益率が出たらきちんと利益確定する。複利計算をしてみると、100万円を年10%毎年増やせば、10年後には300万ぐらいになる。7%で250万円ぐらいだ。1000万なら3000万になる計算になる。私は、自分の将来シミュレーションは年5%で増やす計算で将来設計をしているが、株式は10%を超えたら売るというルールを徹底している。(ものによっては15%)しかし、某大手小売業が失速し、メディアが騒ぎたて2万円代になったとき株を買ったのだが、予想通り短期で3万7000円まで上昇した。当たり前だ、春にガウチョパンツが売れなかっただけで、企業価値が40%も落ちるわけがない。PERもPBRもへったくれもない。必ず上がるとわかっていた。しかし、私は15%ルール(この時だけは15にした)で利益確定した。3万ちょいだったと思う。「もっと上がる」とわかっていた。実際にもっと上がったし今でも上がっている。だが、決して自分を責めないし、売ってよかったと思う。某大手小売業は売買価格が高いので信用取引に手を出したくなるが、その悪魔も誘惑も断ち切った。

1. 決められたリターンを守る

2. 信用取引には手を出さない

と、私は決めており「ルールを守る」ことが大事なのだ。

(私は、上記二つを否定しているわけではない。信用取引もリスクを吸収したりヘッジしたりする手法やツールはあるが、私はやらないというだけだ)

先に述べたように、これからの為替動向、経済動向、内需型、外需型、企業の割安銘柄を選び、2年、3年と踏ん張って持っていれば、必ず想定利益を生み出してくれる。その時を逃さずこまめに利益を食う。また、増えたお金は、その時の経済状況を分析し、「その次」の銘柄に移しておく。こういうことを繰り返すのだ。これだけで、あなたの資産は増える。どうだろう。そんなに難しい話ではないと思うが。

<次回へ続く>

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『FRI Magazine』

著者/河合 拓

コンサルティングファーム取締役。講演、セミナーを数多くこなす傍ら、IT企業、製造業、商社、流通・小売など再生案件を手がけた企業は多い。本当の問題解決力を身につけたいと思いませんか。私は、数多くの企業と事業の再生を手がけ多くの成果をあげてきました。私は実際に事業を動かしている実務家です。このメルマガは生々しいプロフェッショナルビジネスの現場から、私自身が解説してゆくノンフィクションストーリーです。

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出典元:まぐまぐニュース!