このような抜本的な別案はなぜ検討されないのでしょうか。

なぜボート・カヌーについては東京以外でやることを前向きに検討し、バレーボールを東京以外でやることについてはそもそも検討すらされないのか。

まさか「ボート・カヌーには興味もないし、日本人も弱いし、どうでもいい」「どこかで代わりにやってくれないかなぁ」「興味がないものにはお金を使いたくない」という考えを小池都知事は持っているのでしょうか。日本では人気がないかもしれないけれど、世界にはボート・カヌーを愛する国があることは考慮されないのでしょうか。カヌー・スラローム競技のリオ五輪銅メダリスト・羽根田卓也さんが練習環境を求めてスロバキアに渡るなど、国内でのボート・カヌー競技全般における練習環境不足の状況を、東京五輪で変えていこうというビジョンはないのでしょうか。

人気のあるバレーボールを宮城でやり、五輪という機会でもなければ大掛かりな整備はできないであろうボート・カヌーを東京でやる。このほうがスマートで、未来につながる形のはずです。もっとゼロベースから言えば、宮城県程度まで会場が離れてしまってもいいのであれば、バレーボール競技を大阪城ホールや日本ガイシスポーツプラザで実施することにしたっていいはずです。これなら有明アリーナの整備費がまるまるカットできます。

もしこの案が検討にすら値しない荒唐無稽な案だというなら、都知事には胸に手を当てて考えてみていただきたいもの。自分は「ボート・カヌーはどうでもいい」と思っていやしないか、と。「どうでもいい競技だから、ヨソに押し付けよう」と思っていやしないか、と。「バレーは人気だから東京でやりたいが、ボート・カヌーは金食い虫で厄介だからヨソでやってほしい」と思っていやしないか、と。

すべての競技を等しく「お・も・て・な・し」することが開催都市の責務のはずです。開催都市の首長として、慎重に検討していただきたいものです。

(文=フモフモ編集長 http://blog.livedoor.jp/vitaminw/)