「若者の抱く夢のすべては都市にある」、「とりあえず東京にいれば…」なんて、他人が押し付けた基準で自分を縛ってない? 幸せの多様性を提案するコスモポリタン編集部が、あえて都心でのキャリアを捨てて、地方での移住生活を楽しんでいる女性たちにインタビュー。地方を舞台に生き生きと活躍する彼女たちの生き様にふれてみて。新たな道が開けるかも!

根岸那都美
宮城県仙台市出身。都内の大学を卒業後、デザイン専門学校へ。その後「丁寧で心地よい暮らし」にまつわる情報を紹介する雑誌『暮らし上手』の編集に携わる。昨年より、秋田県の藤里町に移住し、地域おこしプロジェクトのひとつとして雑誌『とんじこんじ』を創刊。編集から執筆、デザインまで手がけるマルチプレイヤー。

―秋田県の藤里町へ移住したキッカケは?

「学生時代からの夢が諦めきれなかった」

もともと地方出身の私。地方活性化を促すモノづくりへの憧れは学生時代から強く、将来的な目標に据えて、デザインを学んだり編集の技術を身につけたりしました。

充実した編集者ライフを謳歌しつつも、夢を諦められず求人票を眺めていたある日、藤里町が「町の雑誌を作るデザイナー」を募集しているのを偶然知って。「1冊まるごと雑誌を手がけられるチャンスなんてそうそうない!」と思い、直感で飛び込んでみることに。

最初は「1冊作りきったら雑誌を東京に持ち帰って、転職活動に役立てよう」なんて考えていました(笑)。東京での生活も捨てきれなかったし、「気に入らなければ明日にでも帰ろう」とも思っていたので、最初は東京と秋田の2拠点を行ったり来たりする日々。でも、地方でのモノづくりの楽しさを知った今、そんな思いは払拭されました。

―求人票を見る前から藤里町を知ってた?

「まったく知らなかったし、最初は興味すらなく…」

正直、全然知りませんでした。仕事内容に魅力を感じていたので、最初は地域についてまったくといって良いほど興味がなかったんです。いざ住んでみたら、コンビニはないし駅もない。そんな町ですが、空気がキレイで水がとても美味しくて。東京でずっと悩んでいた肌荒れが一気に治りました(笑)。町の人たちも良い人たちばかりで、町外から来ているにも関わらず、よそ者扱いされたり居心地が悪いと思ったことは一度もありません。

―藤里町での暮らしは魅力的?

「人間らしい生活と、多くのチャンスが待っている!」

. トマト早く育ちますように。

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東京で編集に携わっていた時に比べると、うんと人間らしい生活ができていますね(笑)。朝は早い日もありますが、夕方には仕事を終えて家に帰って、町の人たちから頂いた野菜で料理をして。そんな時間がとても幸せです。

そして「こんなこと、私がやっていいの!?」なんてチャンスがたくさん舞い込んでくるところも魅力的。私は専門学校で、グラフィックデザインを専門で学んだんですが、それ以外の仕事もさせてもらえます。なんでも挑戦できるんです。完成物を渡した時に、すぐに反応してくれるのも勉強になるし、何よりみんなすごく喜んでくれるのが有難いですね。

あと、小さな町なので、若い人や外から来た人がとっても目立つんです。自転車でふらっと走っているだけでも翌日には知られていたり。それがコミュニケーションの一部になっていて楽しいんですが、東京だったら考えられないことですよね(笑)。

―地方でモノづくりをする上で苦労したことは?

「気づくと専門外の案件に追われていることも…!」

地方はクリエイティブな仕事への認識が薄いので、コンセプトを考えるところから発注者のふわっとした意図をうまく汲み取ってカタチにしていかなければならないので、そのあたりは苦労しました。

"町がひとつの会社"みたいな感覚があって、何かしら技術を持っている人に仕事が集まりやすいのかなと感じています。私の場合、気づいたら純粋な編集・デザイン仕事の枠を外れて、イベント運営など多くの案件を抱えていたことも。でもこれをチャンスと思える人ならきっと楽しめるはずです。

また、切磋琢磨し合う都市部と違って必然的にライバルが少ないので、自分を甘やかしてクオリティを落としてしまわないよう常に意識してます。町の若い人や東京の友人たちと小まめに連絡を取り合って、意見をもらったりしながらなんとかやっている感じですね。

―将来的な展望は?

「地方と東京を繋ぐパイプのような存在になりたい」

デザインをできる編集、編集のできるデザイナーとして活動していきたいです。ゆくゆくは生まれ故郷の仕事もしたいです。できれば東京にも拠点を設けて、2拠点生活に戻すのも良いかなと思っています。地方と東京を繋ぐパイプのような存在になれたらなと。

―藤里町に住むにあたって知っておくべきことは?

「車の免許は必須!」

当たり前だと思う人もいるかもしれませんが、運転免許は持っておかないと、とても苦労します(笑)。町のスーパーで売ってないものを求めて町外に出ようとすると、1時間に1本のバスでは厳しいところがちょっとありますね。私の場合はとても恵まれていて、免許を持っていないと聞いて車に乗せてくださる方がいるので、なんとか生活できています。でも、いつまでも頼ってはいけないので、今は教習所に通っているところです…(笑)。

―同じように移住を考えている女性にアドバイスを!

「東京でモヤモヤしてる人は、技術を持って地方でリスタートを」

東京でモヤモヤしている人は、一度、地方で仕事をしてリスタートするのもおすすめです。できれば、クリエイティブ職に携わるなら何か技術を持ってきた方がいいと思います。経験が少なくても多くのチャンスが舞い込んでくるのでスキルアップには最適ですが、やりたいことがなかったり、手に職がないままのんびり田舎暮らしというのはツラい部分があるかと。

あとは、「地域おこし協力隊」という制度を使うのもおすすめです。仕事に関しては移住促進などが多いですが、任期があり給料も地方で暮らしていけるくらいはもらえます。役場と密に絡めるポジションなので、ものごとを動かしやすいと思います。