絵本『偉大なクソ馬』

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最近、懐かしい競走馬の名前をニュースで目にした。113戦0勝という“負け”の記録を残したアイドルホース、ハルウララだ。現在は千葉県御宿町にある牧場「マーサファーム」にいて去る2月で20歳となったが、元気に余生を過ごしているという。

関係者すべてが1着を目指すのが競馬だが、何度負けても走り続けるハルウララの姿は「負け組の星」などと称され、競馬ファンを超えて多くの人々に感動を与えた。

負けても挑戦し続ける姿に感動を覚えるのは、お隣・韓国も同じようだ。ハルウララと同じく、連敗記録を重ねることで有名になった牝馬がいる。

101戦0勝の牝馬チャーミングガール

101戦0勝という韓国競馬史上、最多連敗記録を残し2013年に引退したチャーミングガール(CHARMING GIRL)だ。

チャーミングガールは2008年にデビューし、現役生活6年間、100戦以上のレースで負け続けた。最高着順は3着。彼女が出走した101レースという数字は、韓国競走馬の最多出走記録でもあるという。

チャーミングガールもハルウララと同じように、負けが重なることで少しずつ注目を集めるようになった。さらに、彼女は現役時代、2週間に一度はレースに出走していた。一般的な競走馬の出走頻度が1カ月に1レースほどと考えると、かなりの出走頻度といえる。

韓国メディアによると、韓国競走馬の1カ月の管理費は130万ウォン(約13万円)ほど。賞金は5着までに与えられるが、10着くらいでも出走手当で100万ウォン程度は支払われるという。つまりチャーミングガールは、1カ月に2レースを走り、出走手当で自分の管理費くらいは健気に稼いでいたことになる。

一攫千金が当たり前の競走馬の世界で、毎月毎月を生きるその姿は「サラリーマンようだ」と称されるようになっていった。

まさに韓国における「負け組の星」となったチャーミングガールは、その人気から未勝利馬としては異例となる引退式まで行われている。そして競走馬を引退後も、馬術の競技馬として第2のチャレンジを続けた。ちなみに小さな大会にいくつか出場したようだが、そこでもやはり勝てなかったそうだ。

絵本『偉大なクソ馬』も発売

韓国ではチャーミングガールの童話も発売された。タイトルを直訳すれば『偉大なクソ馬』。子供たちにあきらめないことの大切さを伝える絵本になっているという。

著者のソ・ソギョン氏は、「1等だけを目指す社会に疲れたすべての人に慰労を伝えるという点で、子供だけでなく大人にも一緒に読んでもらいたい童話です。人々は成績の悪いチャーミングガールを“クソ馬”と呼ぶけれど、いつも最善を尽くすという教訓がそこにはあります」と話している。

まさに韓国のハルウララといえるわけだが、チャーミングガールの馬生は短かった。

疝痛(消化器疾患により生ずる腹痛の症状)を引き起こし、2015年11月3日、10歳の若さでこの世を去ってしまった。11月13日の乗馬大会に出場する予定もあったほど、突然のことだった。

チャーミングガールは決して名馬ではない。それでも間違いなく、多くのファンに影響を与えた一頭だろう。彼女の偉大な連敗記録は、韓国競馬史に燦然と輝いている。

(文=呉 承鎬)

(参考記事:9年ぶりとなる三冠馬の誕生!! “韓国のナリタブライアン”パワーブレイドの可能性