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「家庭内の映像体験としては、テレビ登場以来のイノベーションだ」。10月13日、PlayStation VR(PS VR)の発売イベントに登場したソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア(SIEJA)の盛田厚プレジデントは、このような言い方で同製品の持つ可能性を表現した。「どこでもドア」と「タイムマシン」を引き合いに出した盛田氏は、同製品の出来栄えに相当な自信を持っている様子。出足好調なPS VRは、このまま普及率を上げていくことができるのだろうか。

○どこにでも行けるし、何にでもなれる映像体験

テレビは前に座って観るものから、中に入って体験するものへ―。盛田氏は「ゲーマーにとって夢」だった映像体験を、PS VRで実現できると自信を示す。ゲーム以外のコンテンツについても充実させていく方針だ。

盛田氏によると、PS VRがあれば「家に居ながら世界遺産への旅」ができたり、部屋が「リゾート地のビーチサイド」や「ライブ会場のS席」になったりするような体験が楽しめるという。これがあれば、「どこにでも行けるし、何にでもなれる」というのが売りだ。ゲーム以外ではビジネス、教育、医療などへの展開も視野に入れている。

PS VRが描いてみせる映像体験は、確かに“テレビ登場”とも比較すべきイノベーションなのかもしれない。しかし、テレビのすごさは技術面だけでなく、その普及率にもあると思える。テレビの出荷台数と比べるのは酷だが、PS VRも普及率を上げられなければ、社会に対しての大きなインパクトとはならないはずだ。購入希望者は多かったようだが、PS VRの供給は追いついているのだろうか。

○購入希望者全員には行き渡らず

3度にわたり申し込みを受け付けた事前予約も瞬く間に完売となったPS VR。発売日も店舗によっては列ができたらしく、購入希望者の全てに行き渡ったとはいえない状況だ。事前予約分と発売日の販売分を合わせて、何台のPS VRが世に出回ったかについては非公表だという。

国内の供給体制について問われた盛田氏は、入手できなかった人に対して「申し訳ない」と謝罪の言葉を口にしつつ、年内にも供給を再開できるとの見方を示した。店舗と購入希望者に対しては、製品をいつ、どのくらい供給できるかについて、できるだけ早く情報をシェアする考えだという。

○供給体制の整備が急務

世界で実売4,000万台超の実績を誇るゲーム機「プレイステーション4」につなげて遊べるのがPS VRの強み。ゲームもゲーム以外のコンテンツも、SIEJAはサードパーティーに広く門戸を開いてアイデアを募っている。普及率が上がれば上がるほど、PS VRはコンテンツ供給を検討するサードパーティーにとって魅力的なプラットフォームとなるはず。コンテンツが充実していけば、PS VRの購入を検討している人も、実際の購買行動に気持ちが傾いていくだろう。

4,000万台超のうち、何台のプレステ4がPS VRとつながるかが今後の焦点だ。発売直後のタイミングで、欲しい人の全てに製品を供給できなかったのは機会損失だが、これを補って余りあるような売上をマークし、多くの家庭にPS VRを入り込ませることができるか。まずは供給体制の整う時期が重要になるだろう。

(藤田真吾)