今年のノーベル医学・生理学賞を受賞した東京工業大学栄誉教授の大隈良典さん。(Ken Ishii/Getty Images)

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 海を挟んで並ぶ日本と中国は近年政治、経済など各分野で互いに強く意識している。特に、このほどの日本人研究者が毎年ノーベル賞を受賞していることに、多くの中国人が「なぜ日本が中国より多くのノーベル賞を獲得できたのか」と自問自答する。

何でも「自分で」の日本 子供の物質的要求を満たすのに注力する中国

 東京工業大学栄誉教授の大隈良典さんが今年のノーベル医学・生理学賞を受賞した。昨年中国の薬学研究者の屠呦呦氏が同賞を獲得している。日本は1949年から今まですでに25個のノーベル賞を獲得したが、中国はわずか3個にとどまっている。日本人研究者の科学分野でのノーベル賞獲得数は米国に迫る勢いだ。

 中国国内メディアは、日本人のノーベル賞受賞に対して、一部の中国人のナショナリズム的な情緒が「苦い反省だ」と表現している。国内インターネット上では、『なぜ日本はこのように多くのノーベル賞を獲得できたのか』と題したブログ記事に大きな反響を呼んだ。同記事では、現代中国と日本との教育、家庭、研究環境の違いを冷静に分析し、中国科学界の変革を呼び掛けた。

 同記事は、日本人は小さい時から自然が大好きで、大隈さんも小さい頃から昆虫が好きだったと話したことがあり、日本人は子供の時から、身近にある自然環境に触れてきたことで自然や科学への興味が自然に生まれたのではないかとの見解を示した。

 また、中国人の親は子供の物質的要求を満足させることに気を配っているが、日本人の子供たちはなんでも「自分で」と自立するように教育されていると家庭環境においての両国の違いも表した。

 一方で、中国と比べて、日本の科学研究がより独立したもので、基本的に政府からの干渉を受けないと同記事が示した。日本人は研究が失敗しても、失業の心配がない。「したがって、日本人研究者が長い期間の研究に没頭することができる」との認識を示した。

 さらに、同記事は「日本人研究者は他の国の研究者と頻繁に交流できることから、日本人研究者は中国人研究者と比べて、より広くかつグローバルな視野を持つことができる」「日本には世界レベルの最高科学研究施設があるし、日本政府が莫大な研究資金を出資している」との見方も示した。

 この記事について、あるネットユーザーは「日本が多くのノーベル賞を獲得したのは不思議ではない。今われわれが目にした成果はすでに2、30年前に研究を始めたものだ。日本は当時すでに裕福で、政府も科学研究への投資意欲が高かった。しかし中国は1978年にやっと改革開放を始めた。あの時、10年間の文化大革命が終わったばかりで、多くの人材が文化大革命中に迫害を受けた」と、日本と中国の根本的な違いは政治体制であると示唆した。

 また「中国の教育制度が学生の独立した思考能力を奪った。子供たちは学校で授業を受け、家に帰ったら山ほどの宿題をすると毎日同じことを繰り返して、つまらない生活を送っている。このような教育環境では、子供たちの想像力も奪われてしまう」との声があった。

 一方で、ノーベル賞受賞の重要性に疑問視する中国人もいる。「中国にとって最も重要なのは、国民生活の改善方法を見出すことだ。中国人がノーベル賞を受賞するかどうかは重要ではない」という。

(翻訳編集・張哲)