画像提供/JR東日本

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2014年にJR山手線・田町―品川間に新駅を建設することが発表されて以降、時々話題になるものの、工事は進展しているのか?と気になっていた矢先、2016年9月上旬に駅の概要が発表された。そこであらためて、JR山手線の新駅建設について、鉄道ジャーナリスト・土屋武之さんにお話を聞いた。【連載】これからの都心鉄道
住まい選びに大きな影響を及ぼす通勤事情。今後数年〜10年後などの未来に向けて、都心の鉄道がどんな風に変わるのか? 路線ごとの便利になるポイントや特徴を紹介します。

JR山手線新駅の知られざる工事の内容とは

新駅建設といっても、当然駅が完成すれば済む話ではない。どのような工事をしているのか、土屋さんにうかがったところ、かなり大規模な工事であることが分かった。

品川駅にある車両基地跡地に新たなスペースを創出するのが今回の工事だそう。車両基地がなくても、支障はないのだろうか?

「車両基地とは、本来、車両の点検をする所のこと。品川駅は、明治時代から車両基地として使われてきました。しかし、最近の車両は、性能の向上などが理由で、メンテナンスの省力化が実現。よって、わざわざ都内の一等地に基地を残す必要がなくなったんです。品川に配置されていた車両は、郊外の基地へ移されました」(土屋さん、以下同)

車両基地を移して空いたスペースは、何に使われる予定なのかも気になるところ。

「まずは現在、JR山手線とJR京浜東北線が走っている線路を西側、つまり車両基地がなくなって空いたスペースに移します。今度は、以前の線路があった場所を含む東側に、住宅や商業施設、オフィスビルなどを建設するのが今回の計画です」

【画像1】田町―品川間の開発概要。現在JR山手線・京浜東北線が走行している所に、商業施設やオフィスビルなどが建設予定。(画像提供/JR東日本)

【画像1】田町―品川間の開発概要。現在JR山手線・京浜東北線が走行している所に、商業施設やオフィスビルなどが建設予定。(画像提供/JR東日本)

さらに続けて、土屋さんはこうも話します。

「新駅周辺の商業施設やオフィスビルは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでには、完成しませんが、新駅は利用可能になるとJRが発表しています。駅や鉄道の整備が先に行われるので、周辺の街開きは2024年ごろになるとのことですよ」

駅をつくるだけでなく、街づくりと一体になって進めている計画だけに、ほんの数年ですぐに終わるものではないようだ。また、品川駅も田町駅も、これまでと変わりなく営業している。列車を通常通り運行しながらの工事になるため、時間がかかるのは当然かもしれない。

東京の玄関口としての利便性はさらに向上

現在の品川駅は、JR山手線、JR京浜東北線、東海道・山陽新幹線などを筆頭に、さまざまな路線が乗り入れている。大ターミナル駅としての役割を担っている品川駅だが、さらに2027年には、リニア中央新幹線の開通も予定されており、利便性がさらに向上しそうだ。

「暮らす」と「通う」では差があると思うが、新駅周辺の居住地区の開発状況はどうなっているのだろう?

「商業施設や居住地区などの再開発は決まっていますが、その配分についての詳細は分かりません。ただ、田町・品川はもちろんのこと、都営線の泉岳寺周辺とも一体となった街づくりになることが予想されるので、それぞれのアクセスは改善されると思います」

利用者にとって多方面へのアクセスが良いことは、大きなメリットになるが、ビジネスパーソンにとってはどんなメリットがある?

「東京駅や大手町駅など、いわゆるオフィス街へのアクセスが良好なことは、大きなメリットになると思います。また、新幹線や将来的にはリニア中央新幹線の乗り入れも決まっているので、『東京の玄関口』として、重宝することは間違いないでしょう」

大ターミナル駅である品川駅は、今後さらなる発展を遂げ、「東京の玄関口」へ。品川駅に通じる鉄道沿線で住まいを探せば、通勤が楽になるのかもしれない。

駅の完成イメージはこれだ!

今年9月6日に、東日本旅客鉄道株式会社が発表した『品川開発プロジェクトにおける品川新駅(仮称)の概要について』という資料には、駅舎の外観・内観イメージが掲載されている。

【画像2】大きなガラス面が新駅舎の特徴。「えき」から「まち」を見通すことができる(画像提供/JR東日本)

【画像2】大きなガラス面が新駅舎の特徴。「えき」から「まち」を見通すことができる(画像提供/JR東日本)

日本の伝統的な文化である“折り紙”をイメージした屋根や「えき」から「まち」を見渡せる大きなガラス面など、伝統とモダンが融合した造りという印象。また、もうひとつ気になるのは「駅名」だが、どのように決めるのだろうか?

「ネット上でも「港南」や「高輪」などいろんな意見が飛び交いましたが、駅名は恐らく完成の直前まで決まらないと思います。駅名の決め方についてもまだ詳しくはわかりません。いずれにせよ、田町や品川の周辺は、歴史的にも重要な街。また、元々は海だったことから、その歴史にふさわしい、もしくは海をイメージさせる名前が良いのではないかと思います」

【画像3】コンコース階には、解放感のある大きな吹き抜けや車両基地を見渡せるイベントスペースも設けられる予定(画像提供/JR東日本)

【画像3】コンコース階には、解放感のある大きな吹き抜けや車両基地を見渡せるイベントスペースも設けられる予定(画像提供/JR東日本)

JRが目指すのは、人と地域をつなぎ、駅と街を一体的な空間にする「エキマチ一体」の実現。新駅誕生で今まで以上に多くの人々が集い、にぎわう街になりそうだ。

JR山手線・田町―品川間の新駅は、駅だけでなく、周辺も巻き込んだ大きな計画。もう少し長い目で見守ることが大切なのかもしれない。とはいえ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの頃には、ひと段落しそう。今後の動向から、目が離せない。

●取材協力
鉄道ジャーナリスト 土屋武之氏●参考
・品川開発プロジェクトにおける品川新駅(仮称)の概要について