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●スズキはトヨタの先進技術に期待
トヨタ自動車とスズキが業務提携に向けた協議を開始した。環境、安全、情報などの分野で技術開発競争が激化する自動車業界で、互いの思惑が合致した感のある両社の提携話。「アライアンスは不得意」だったと自ら認めるトヨタが、自動運転をはじめとする先進技術の世界標準化に向けた「仲間づくり」で大きく動き始めた。

○両社が提携に求めるものは

提携を持ちかけたのはスズキの方だ。同社の鈴木修会長は9月、トヨタ名誉会長の豊田章一郎氏と会談し、トヨタからの協力を得られないかと提携について相談した。トヨタの豊田章夫社長と鈴木会長が提携について話したのは先週のことだという。

提携に向けた協議の開始をアナウンスする場となった記者会見では、提携の内容やスケジュールなどについて多くの質問が出た。協議開始を決めてから「稼働日でいうと2日くらい」(豊田社長)しか経っていない段階ということで、両社トップは「具体的なことはこれから」と口をそろえた。

会見で詳しい話は聞けなかったが、両社が提携に期待することは多少なりとも伝わってくる。スズキがトヨタに求めたのは、自動運転やコネクテッドカーなどに関する先進技術だろう。軽自動車を中心に、価格競争力の高いクルマを作る技術を磨いてきたスズキだが、「良品廉価のクルマづくりでは行き詰まってしまう」と鈴木会長も語るように、先進技術にキャッチアップしていくことが、業界で生き残っていく上で重要と判断したようだ。

トヨタが提携に関する発表で強調しているのは「標準化」と「仲間作り」だ。たとえば自動運転を例に取ると、欧米の自動車メーカーは業種を越えたアライアンスを形成し、自分達が開発を進める技術を世界標準として打ち出そうとしている。豊田社長は「環境、エネルギー、安心、安全はもちろん、自動運転をはじめとする先進技術・将来技術の開発も求められている」と自社の状況を説明し、「1社で(対応していくの)は限界。経営資源もあるし、インフラとの協調、(先進技術の)標準化に向けた仲間づくりも重要」と提携の意義を語った。

●トヨタを核とするアライアンス形成は進むか
○自前主義では生き残れない自動車業界

「アライアンスは不得意だった」と豊田社長も認めるトヨタだが、自前主義にこだわっていたのは以前の姿。ダイハツ、日野自動車、マツダ、富士重工業(スバル)、いすゞ自動車など、トヨタが提携関係にある自動車メーカーは数多い。豊田社長は「もっといいクルマづくり」と「先進的なモビリティ社会づくり」に役立つ提携については、いつでもオープンなスタンスだと語る。トヨタとスズキの提携は、他の自動車メーカーや異業種の企業も巻き込み、“日本連合”とでも呼ぶべき大規模なアライアンスに発展する可能性を秘める。

○資本提携も視野?

トヨタとスズキの提携がどこまで進むかは不明だが、資本提携に発展する可能性もゼロではない。スズキがトヨタグループに入る可能性について問われた鈴木会長は、「せっかちな質問」だとしつつも「ゆっくり考える」と否定はしなかった。

業務提携が深化していく場合は、トヨタの完全子会社であるダイハツとスズキの関係性も重要になってくる。軽自動車市場でシェア争いを繰りひろげるダイハツとスズキは、正面から手を組むと独占禁止法に引っかかりかねないからだ。この辺りについて豊田社長は、「法規制も踏まえて協議していく」との姿勢を示していたが、業務提携を具体化するならば、協力する分野と競争する分野を明確に規定しておく必要があるだろう。

トヨタとスズキの関係はどこまで深まるのか。そしてトヨタを核とする大規模なアライアンスは生まれるのか。提携協議の進展を注視していく必要がありそうだ。

(藤田真吾)