ロシアのサンクトペテルブルグで、北朝鮮から派遣された約10人の建設労働者が集団脱北する事件が起きたと、韓国の公共放送KBSが報じた。

韓国政府の情報筋によると、事件が起きたのは今年8月末。10人ほどの北朝鮮労働者が駐サンクトペテルブルグ韓国領事館を訪れ「亡命したいのだが、どうすればいいのか」と相談してきたという。

KBSによると、名称は明らかにされていないが国際的な人権団体が労働者らを保護。現在、彼らは安全な場所に移され、韓国政府と韓国入国の手続きについての協議を行っている。

明らかにされている10人とは別途に、さらに3〜4人の北朝鮮労働者が、韓国領事館に亡命を申請したとKBSは報じている。今回の事件における脱北者は最高で14人にのぼる可能性がある。

また、この事件と関連し、労働者の管理監督を担っていた北朝鮮の責任者が、平壌に召喚されていたことが、デイリーNKの内部情報筋によって明らかにされた。

脱北した労働者らは「木蘭建設会社」に所属していた。同社の事情に精通した情報筋によると、現在社内は上を下への大騒ぎとなっている。

とりわけ、労働者を韓国領事館まで引き連れていったのが、作業グループのまとめ役である作業組長であることが判明したため、支配人と保衛指導員(副支配人クラスの秘密警察)が平壌に召喚された。

事件の重大性を考えると「2人は処刑される可能性が高い」と情報筋は伝えている。

さらに、同社では、今年の初めにも脱北事件が発生。デイリーNKは、この脱北者から話を聞くことができた。

「木蘭建設会社の労働者は細かい組(グループ)に分けられている。厳しい相互監視体制の下に置かれており、同僚に本音を明かすことは少ない。こうした状況で集団脱北が起きたのは非常に驚くべきことだ」

「社内でスマートフォンを隠し持っている人は、4割ほどいた記憶がある。ネットで北朝鮮の実情を知ったことで彼らは脱北を決意したのではないか」

3万人とも5万人とも伝えられるロシアに派遣された北朝鮮労働者。そのうち2000人がサンクトペテルブルグの建設会社や工場で働いている。長時間労働、厳しい行動制限や上納金に加えて、暴力や拷問の事例が報告され、北朝鮮の人権問題の新たな火種となっている。