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10月に入り、肌寒い日が増えてきた。秋から冬にかけて気温が下がっていくこれからの時期、気をつけたいのが風邪だ。毎年のようにこの厄介な感染症に悩まされる人も多いはずだが、そのワクチンの実現が現実味を帯びだしてきているのはご存じだろうか。

海外のさまざまなニュースを紹介する「LiveScience」にこのほど、「風邪に対するワクチン開発」に関する研究を紹介するコラムが掲載された。最新の発表によると、マウスとサルを用いた研究でよくある風邪に効くワクチンの開発が進められているという。

風邪の主な原因の一つに「ライノウイルス」と呼ばれるウイルスがある。研究グループはライノウイルスに対する2種類のワクチンを開発。1つをマウスに、もう1つをサルに投与した。ライノウイルスには100以上の種類があるが、マウスもサルもワクチンに存在したすべての種類に対する抗体を作ったとのこと。

ワクチンを使うと抗体を作りやすくなり、特定のウイルスや細菌が体内に入ると、免疫システムがすぐに抗体を提供するようになる。ワクチンには弱められた、もしくは死んだウイルスや細菌が含まれている。だが風邪の場合、数えきれないほどのウイルスが原因となって風邪を引き起こすため、ワクチンの製造は難しい。

さまざまな種類のライノウイルスに対処するために、研究グループはマウスへのワクチンには25種類、サルへのワクチンには50種類のウイルスを含めた。2016年のインフルエンザワクチンには4種類のウイルスしか含まれていなかったことからも、いかに多くの種類が含まれているかがわかるだろう。

研究の結果、マウスは25種類の抗体を、サルは50種類の抗体を構築した。そこで研究者はこれらの抗体をマウスとサルの血液から取り出し、別のペトリ皿で追加実験を行った。その結果、これらの抗体は、ウイルスがヒトの細胞に感染するのを防いだとのこと。

この新しい研究において「概念の証明」、すなわち「何かできることがある」という事実が示された。ただ、ヒトに対しても効用がある「風邪ワクチン」を開発するためには、さらなる研究が必要となる。

本研究の主著者であるエモリー医科大学のマーティン・モーア准教授は「次にすべきことはワクチンの治験をすることだ」と語っている。人間に対しても効果的な「風邪ワクチン」が提供されるのは、そう遠くない将来かもしれない。

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○記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。

(杉田米行)