「海外勤務」に憧れている人が、その夢を実現させるためには、一体どんな力が必要なのでしょうか。まず最初に思いつくのが「語学力」だと思いますが、それよりももっと必要なことがあるんです。

グローバルビジネスコンサルタントとして活躍する白藤香さんの著書『90日間で世界のどこでも働ける人になる!』から、大切な4つの習慣を紹介します。

01.
相手の考え方に
合わせる

海外で働くことを考えるとき、真っ先に問題にされがちなのが語学力ですが、じつは語学よりも先に身に付けておいてほしいことがあります。それは「柔軟に考える力」です。

日本の企業では、働く人の大半は日本人ですから、何も言わなくてもそれぞれが同じやり方で仕事を進めています。一方、欧米企業では多様な民族が働いているのが大前提なので、人の数だけ仕事の進め方ややり方があります。そのため、日本人と外国人が一緒にビジネスをしようとすると、必ず摩擦やひずみが起こります。

では、どうすればいいのでしょうか。非常にシンプルに言えば、相手の考え方にいったんすべて合わせることです。日本で慣れたやり方、考え方を捨て、相手の考え方や論理に沿うようにするのです。どんな国のやり方や論理も受け入れ、そこに合わせることを重視すればコミュニケーションも成り立ちますし、ビジネスもうまくいきます。日本のやり方、これまでのやり方に固執するからうまくいかないのです。

彼らと話すとき、最初は片言でもいいのです。とにかく話し、相手を理解する努力をすることが大切です。

02.
積極的に「和」を乱す

私がアメリカで仕事を始めて間もない頃、同僚から意見を求められたことがあります。私が「I agree your opinion.」と答えると、相手は途端に表情をこわばらせ、きつい口調でこう言いました。

「私はあなた自身の意見を聞きたいのです。簡単に賛同などしないでください」と。

日本にいると、何事も丸く収めたほうが得策という意識が働きますが、海外では正反対です。異なる意見をぶつけ合わせ、十分な議論をし尽くしたところで初めて折り合いをつけるのが一般的です。たとえ相手が上司でも、自分の意見ははっきりと言わなければなりません。

自分の意見を言うことは、ビジネスの基本です。海外では、筋が通ってさえいれば、非常識であればあるほど「そのアイデアはどんな着眼点から生まれたのか」と興味を持ってもらえます。そしてそれが高い評価、厚い信用へとつながっていくのです。一緒に働く相手を、信用できる相手かどうかを判断して決める海外では、自分の志向をさらけ出すことでしか、相手の信用を勝ち取ることはできません。

03.
必ず「数字」で説明する

海外、とくに欧米のビジネスは、すべてが論理的に組みあがっていると言っても過言ではありません。欧米諸国では、確かな裏付け、それもできるだけ「数字」で示せるデータをもとに結論を導き出すことが基本です。

論理的な考え方を形に現している企業の代表例としてわかりやすいのが、アップルです。世界中で人気の「アップルウォッチ」は、技術の裏付け、市場での裏付け、想定したユーザーがこんな使い方をするはずだという裏付けをもとに、論理的に開発されたものです。設計面でも緻密に計算されており、それが商品に表れています。

様々な裏付けから筋道を立てて論理的に結論を導き出すこと、つまりシミュレーションを行うことは、ビジネスにおいて重要です。たとえ違う考え方を持っていても、論理がきちんと組み立てられていれば、その筋道を理解できるからです。

そのためにも、できるだけ客観的に判断できるように、数字に置き換えられるものは数字に置き換える、というのは有効な手段です。単に「収益が上がる」ではなく「このようなシミュレーションを行った結果、○か月で○円の収益増が見込める」と明確に表現することで論理性、客観性は飛躍的に高まります。

04.
YES・NOを言わない人間は
プロではない

海外では、仕事中「イエス」「ノー」のどちらなのかを突き付けられる場面が数多くあります。

私自身も海外で仕事を始めたばかりの頃は「Do you〜?」と質問されて、日本語の習慣でアバウトに答えたものでした。そのため相手に「I’m asking Yes or No!」と、ぴしゃっと遮られたこともあります。意思表示を明確にしなければならないというのは、日本人にとってはかなりスリリングですし、最初は緊張も強いられます。

ところが2000年代に入り、欧米でも「Yes or No」ではなく、「Yes and No」と答えるスタイルが主流になっています。「Yes」「No」で答えられるほど市場の動向が単純ではなくなっているのです。ですから先に「Yes and No.」と答えておいて、その後で「Aについては確かにそう思うが、Bについてはそうは思わない。自分はこう考える」とか「Cという条件ではそれが正しいが、条件が変わればそれは違ってくる」といった説明を加えます。

いずれにしても、海外で働くにあたっては「沈黙は悪」。黙ることで相手に信頼されないばかりか、怒らせたり、イライラさせたり、呆れさせたりする恐れがあります。

世界に出ても戦える「実力」を身につけるため、知っておきたい世界の常識・非常識を、40ヶ国1万人以上のビジネスマンと商談してきたグローバルビジネスコンサルタントの白藤香さんが紹介。「結果が出せなければ即クビ」という環境で結果を出してきた著者の言葉が、リアルな世界の現場を教えてくれます。