夜空一面に広がる大きな花火、爆発の迫力もさることながらその美しさにも圧倒されます。全国各地で行われている花火大会ですが、花火を見ることが好きになり、「いろいろな大会を見に行って花火を楽しみたい」「より詳しく花火について学びたい」など、花火を愛してやまない人たちも多くいます。そんな「花火好きな人」であることを認定するという資格が「花火鑑賞士」です。自身の花火についての知識の向上も兼ねて、花火鑑賞士の試験を受けてきましたので、花火鑑賞士とはなにか、どんな資格なのかを試験を受けるまでと一緒にまとめてみました。

◆花火鑑賞士試験とは?

NPO法人大曲花火倶楽部が行っている認定試験で、「花火が好きなこと」「花火を芸術として捉え、作り手である花火師を敬い、見る側である自身も相応の知識を身につける努力をする者」など、市民レベルでの見る側のスキルアップを目的とした独自の認定試験です。これまでに、1055名の花火鑑賞士が認定されています。なお、この資格により権威や社会的な特典などは発生しません。

まずは、試験の申し込みです。NPO法人大曲花火倶楽部のウェブサイトに載っている募集要項から、郵送で試験の申し込みを行います。今回申し込んだのは第14回花火鑑賞士認証試験。



2016年9月11日の申し込み締め切りから数日後、テキストと受験票が送られてきました。



テキストは、花火の歴史や花火の名前など、花火に関する詳しい資料集になっています。



試験は、「筆記試験とビデオを見て花火の種類などを答える実技試験がある」とのことなので、テキストを読みながら花火の歴史や名前などを確認します。例えば以下の写真は「千輪」という種類の花火で、千輪とだけ覚えていましたが、詳しくいうと「彩色千輪」と呼ばれるものであることが学べます。



「全国各地で行われる花火大会の名前や特徴なども覚える必要があるかもしれない」と予想して、これまで見てきた花火大会を振り返ったり、行ったことのない花火大会の動画を見て特徴を覚えたりと、テキストやネットの花火関連のコンテンツを見て覚えていきました。



試験日の10月9日となり、秋田県大仙市大曲へ向かいます。

大曲駅に到着。



試験会場へ向かう前に、駅前にある花火通り商店街を歩きます。



商店街の中ほどにある「花火庵」へ。



中に入ると、花火玉の模型や打ち上げ用の筒など、花火に関する資料が展示されていました。



さらに奥の部屋には、花火鑑賞士の名前が都道府県別に飾ってあります。



花火庵を見学した後、試験会場へ向かいます。今回の試験会場は「グランドパレス川端」です。



受付開始前の様子。受験者たちは、テキストを読んで試験に備えています。



10時30分、受付が始まりました。試験票には顔写真も貼ってあり、本人と一致するか確認の上、会場内へ案内されます。



受験番号と同じ番号の席に座り、試験前に行われる講義を待ちます。今回の受験者は75名とのこと。



11時から16時30分まで、4つの講義を受けます。その後、16時50分から18時10分までが試験という日程です。



最初の講義は、大曲花火倶楽部会長・挽野実之氏による「花火の歴史」からです。試験に出そうなところは、しっかり教えてくれるので、テキストと照らし合わせながら重要なポイントを押さえていきます。2017年4月には「第16回国際花火シンポジウム」が行われ、大曲に世界各国の花火関係者が集まるとのことで、大曲に注目が集まる年になりそうです。



最初の講義が終わり、昼食が運ばれてきました。秋田のブランド牛と特産品の枝豆が入ったカレーです。



2つ目の講義は、「花火の分類と種類」について、講師は株式会社和火屋の久米川和行氏です。花火師による講義を受けられるという、花火好きにはたまらない時間を過ごせます。



場を和ませつつ、問題のヒントも教えてくれるなど、楽しみながら講義を受けることができました。最後に花火鑑賞士に向けてのメッセージが伝えられます。



3つ目の講義は、株式会社小松煙火工業の小松忠信氏による「花火の製造・打ち揚げ」の講義です。こちらも花火師による講義ですが、事前の噂ではこの講義は難しいと聞いていました。内容は「花火の作り方や打ち揚げ方を1から専門用語なども交えて詳しく説明するもの」で、花火の中身や仕組みについてこれまで調べてなかった人にとっては、新しく覚えることが多く難しかったかもしれません。この講義は一般の資料には載っていない本物の花火の中身を知ることができる興味深い内容で、大変有意義な時間となりました。



最後の講義は、花火研究家の小西亨一郎氏による「全国の花火大会と鑑賞のポイント」です。全国の花火大会の内容やビデオを見ながら花火の鑑賞方法を説明します。花火は、「二度と同じものは上がらないので、大事に見ること」など、花火鑑賞士としての心構えなども詳しく講義しました。



講義が終わり、いよいよ試験開始です。試験は、60分の筆記試験の後、ビデオを見て打ちあがった花火の名前を書く実技試験が5問出題されます。実際に受けた感想としては、全問題のうち75%がテキストの内容が理解できれば答えられる問題、15%が普段から花火の知識を身につけていなければ答えられないような難易度の高い問題で、残り10%は運という内容です。実技試験は、受験者のほとんどが難しくて自信がないという感想で、確かに「それを出してくるのか!」という痛いところを突かれる内容でした。



試験終了後、「会場近くで行われているお祭りの会場で、打ちあげ花火を見ることができる」とのことで、バスに乗ってお祭りの会場へ向かいました。会場ではよさこいの演舞が行われており、奥には「花火灯篭」が並べられています。



打ちあがる花火の名前を全国花火競技大会「大曲の花火」でアナウンスをしている佐々木かつ子さんが、目の前で読み上げるということで、受験者一同ざわめきます。「10号玉、昇曲導付青銀乱錦冠菊(のぼりきょくどうつきあおぎんらんにしきかむろぎく)、どうぞお願いいたします」という全国花火競技大会を見たことのある人には聞き覚えのある声の後、花火が打ちあがりました。



締めのスターマインでは尺玉も絡めた錦冠の同時打ち。1地区のお祭りの花火とは思えない豪華で感動的な演出で終わります。



花火鑑賞士は、知識を自慢したり花火大会を評価することができる資格ではなく、花火大会の面白さや素晴らしさを正しく伝えるための伝道師となる資格です。ひとつの例として、「すべての花火が打ち終わった後、花火を打ち上げていた発射台のほうを見ると、発煙筒やライトを振る花火師さんたちが見える大会もあります。その時には、携帯やスマートフォンの画面を照らして振り、花火師のみなさんに感謝の気持ちを伝えてみてください」など、花火大会の楽しみ方などを伝える役目を担うことになります。なお、試験の合格発表は2016年11月13日なので、合否の報告は後日追記する予定です。関連記事

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