人類の歴史は、輝かしい面ばかりではありません。片方の国が発展を遂げた影には、戦争に敗れた国もあり、産業発展のあとに振り子の揺れ戻しで衰退が訪れた街もあります。

そんな人類の悲しみの現場と対峙する旅が「ダークツーリズム」と呼ばれるもの。そこには悲しみや怒り、絶望しかないのかもしれません。でも、実際に足を運ぶことに意味があるのではないでしょうか。

今回は、プノンペンで起こった歴史上類を見ない惨劇と向き合う観光地。カンボジアの「キリング・フィールド」を紹介します。

【キリング・フィールド】
狂気の政権が犯した過ち

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一見、のどかに見えるチュンエクのキリング・フィールド。足を運ぶと不自然にへこんだ地面に気づくでしょう。

ここはかつて、ポル・ポト政権により、何の罪もない国民が大量虐殺・埋葬された場所。そびえる慰霊塔には、ここで発見された約9,000人の遺骨が国別、殺害方法別に並んでいます。

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過剰にエスカレートした
粛清の末路

1975年、ベトナム戦争終結後にカンボジアで頭角を現したのは、ポル・ポト率いるクメール・ルージュ。近代文明を不要とする原始共産制社会を目指し、通貨の廃止、土地・身分の剥奪、農村部への移住など、粛清は徐々にエスカレートしていきました。

文字を読める者、渡航歴がある者、農作業をしていないとされる手が綺麗な者、知識人に見えるため眼鏡をかけている者。何の罪もない彼らは、「再教育」の標的とされ、14歳未満の少年たちを中心に、その手によって虐殺されました。

14歳未満の少年たちが軍務を担わされていた理由は、大人と違い、他の思想に染まっていないとされていたから。約3年で人口の3分の1が消え、14歳未満の国民が85%を占めたという事実が、大虐殺の冷酷非道さを物語っています。

こんなところも
訪れてみては?

【トゥールスレン虐殺博物館】拷問が行われた地
もともと高校だったこの場所は、拷問室、尋問室として使用。現在は博物館へと姿を変え、当時の部屋はそのままに、拷問器具や犠牲者の写真も展示されています。

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【アプサラ・ダンス】思わず見入る世界無形文化遺産
ユネスコの世界無形文化遺産にも登録されている伝統的な宮廷舞踊。悲劇の歴史により存続の危機にありましたが、生き残った人々によって今もなお伝えられています。

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【アンコール遺跡群】カンボジアの代表的世界遺産
プノンペンから少し離れた場所にある人気の遺跡。アンコールワット、アンコールトム、タプロームなど、チケット付きの現地ツアーで1日かけて回るのがオススメ。

■ベストシーズンは、11〜2月
年間を通して高温多湿ですが、乾季は比較的過ごしやすく、とくに冬は暑さが落ち着き雨が少ないのでオススメ。3月からは気温が40度近くまで上昇します。

■予算は9万円〜
飛行機代、宿泊費含む、諸税等別途必要、燃油サーチャージ込み

■プランは5日間
1日目 東京発、経由地乗継、シェムリアップ着
2日目 アンコール遺跡群観光
3日目 プノンペンへ移動
4日目 キリング・フィールド/トゥールスレン観光
     プノンペン発、経由地乗継
5日目 東京着

※最寄りの都市であるシェムリアップまでは日本から飛行機で約9時間。慰霊塔のあるチュンエクは、プノンペン市内からトゥクトゥクやバイクタクシーで約30分。

虐殺が行なわれたいくつもの刑場跡は、「キリング・フィールド」と呼ばれ、現在は世界中から悲劇の真実を知ろうとする多くの人が訪れています。人々が背負ってきた忘れたい歴史と向き合わずして、カンボジアは語れないと言えるかもしれません。

世界中に点在する、戦争、迫害、破壊、災害、虐殺、社会差別など、人類の悲しみの現場と対峙する「ダークツーリズム」をまとめたガイドブック。誰もが知る有名な場所からマイナーな場所まで36ヶ所を掲載。歴史解説と見所やモデルプランを同時に読める貴重な1冊。