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「上司が部下をマネジメントできない」、「シニアが若手とコミュニケーションできない」、「セールスが顧客をハンドルできない」、「学校が父兄からの申し出の対応ができない」……リーダーシップトレーニングを実施していると、このような相談を受けることが増えている。

 身に付けるべきスキルをパーツ分解して、パーツスキルを反復演習で体得する「分解スキル・反復演習」を実施してみると、これらの問題に共通する、いわばベースとなるスキルが欠けていることがわかってきた。このベーススキルが、モチベーションエリアを見極めて、モチベーションエリアに応じたコミュニケーションをするスキルである。

 モチベーションエリアとは、人それぞれが持つ、やる気が起こりやすい領域で、私は、「目標達成」、「自律裁量」、「地位権限」、「他者協調」、「安定保障」、「公私調和」の6つのエリアに分けている。そして、前の3つのエリアでモチベーションが上がりやすい人を牽引型(通称、狩猟型)、後ろ3つのエリアで気持ちが高まりやすい人を調和型(通称、農耕型)と呼んでいる。どのエリアが高いか、狩猟型か農耕型かということは、良し悪しではなく、人それぞれの特性だと私は考えている。

 相手のモチベーションエリアが「公私調和」であることがわかっていれば、徹夜して「目標達成しろ」と言う上司はいないだろう。「地位権限」志向の若手に、自分がそうだからといって無理するなとシニアな先輩が言ったら、若手は不満に思うに違いない。モチベーションエリアを無視したコミュニケーションが横行していることが、マネジメント力低下の大きな原因だと思えてならない。

◆所属組織でも大きく異なるモチベーションエリア

 実は、この狩猟型と農耕型の割合、そしてモチベーションエリアの6つのエリアの割合は、直近の分解スキル・反復演習の参加者538名の結果をみる限り、所属する組織によって大きく異なっている。

 例えば、外資系IT企業社員が狩猟型社員の割合は64.2%と突出している一方で、銀行員は38.4%と大きな隔たりがあるのだ(表1参照)。外資系IT企業の中でも、最も狩猟型の高い企業では、その割合は73.2%にのぼる。組織の4人に3人は狩猟型なのだ。

⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=112810

 外資系IT企業社員と銀行員の6つのモチベーションエリアの割合をみると、表2のように台形のグラフが逆に向かい合っているように、正反対であることがわかる。外資系IT企業社員の「目標達成」志向と「地位権限」志向は群を抜いており、銀行員の「他者協調」志向と「公私調和」志向は、各所属組織の中で最も高く、台形の底辺の両端の如く、グラフを際立たせている(表2参照)。

⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=112811

 変革を先取りしたいIT業界と、堅確性を求められる銀行とで、モチベーション志向が狩猟型と農耕型とに分かれるのは、予想通りの結果といえる。しかし、一見、意外なモチベーションエリアを示した組織もある。

◆今日日の大学生は「農耕型」!?

 例えば、コンサルタント。「自律裁量」がひときわ高いことは、予想通りだ。一人一人のコンサルタントに対する裁量が大きく、いわば自らの腕で、顧客に対峙していく姿を現わしているように思える。一方で、銀行に次いで、「公私調和」が高いことは、私には意外だった。

「きつい、(労働時間あたりの)給与が引く、休暇がとれない、顧客に無理難題を言われる」・・・ときった、現代の4K職場とも言われるようになった、コンサルタントが、現代のコンサルタント志望者のモチベーションエリアと合致しなくなっている端緒かもしれない。