フランスの人口学、歴史学、人類学者でもあるエマニュエル・トッド氏は、過去に誰もが思いもしなかったソ連の崩壊、アメリカの没落を的中させて一躍有名になった予言者でもあります。そんな同氏がトランプ現象やEUの未来について語った内容が、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で紹介されています。

予言者エマニュエル・トッドは、トランプ現象をどう見る?

世の中には、「予測がピタリとあたる」ので「予言者」と呼ばれる人がいます。フランス人の人口学者、歴史人類学者、歴史学者エマニュエル・トッドさんは、まさに、予言者。この方は、もう何十年も、大きな予測をはずしたことがありません。

まず1976年、当時「永遠に続く」と思われていたソ連の崩壊を予測し、一躍有名人になりました。2002年、トッドさんは、『帝国以後』を出版。アメリカが崩壊に進んでおり、衰退するにつれて世界にとって危険になるという考えを示しました。当時、ソ連崩壊後唯一の超大国になったアメリカの没落を予測する人はなく、世界を驚かせます。しかし、その後トッドさんの予測通りにアメリカが進んでいった時、世界はもっと驚いたのです。また、EUやユーロの行き詰まりについても、早くから警告していました。

そんな予言者トッドさんは、「トランプ現象」についてどう感じているのでしょうか? 朝日新聞デジタル10月1日付にトッドさんのインタビューが載っていました。

トランプ現象は、アメリカ人の○○化疲れ

──大統領選挙でドナルド・トランプ氏が共和党の候補になったことの意味をどう考えますか。

 

「(民主党で候補者指名を争った)バーニー・サンダース氏の人気も合わせると、米国社会で大きな変化が生まれていると感じます。支離滅裂で挑発的なトランプ氏のスタイルの陰に隠れがちですが、トランプ氏を支持する人たちの反乱には理があります」

 

「また民主党の党大会で、サンダース氏の演説に会場が強く反応したのは、自由貿易や環太平洋経済連携協定(TPP)の問題に触れた時でした。米国では大衆層だけでなく、前は反対していなかった中流層も意見を変えています」

アメリカ人は、大衆だけでなく、中流層もTPPに反対だそうです。安倍総理も、「アメリカが反対だから」という理由で、TPPをやめたらいかがでしょうか?

では、なぜアメリカ人はTPPに反対なのでしょうか?

「昨年のある人口動態調査によると、45歳から54歳までの米国の白人の死亡率は、1999年から上昇しているというのです。途方もないことです。

(同上)

45〜54歳の白人アメリカ人は死亡率が上がっている! 働き盛りじゃないですか!? なぜ、45〜54歳白人アメリカ人の死亡率は上がるのでしょうか?

自殺や麻薬、肥満といったことが原因でしょう。生活レベルの低下、退職後の不安……。グローバル化による低賃金の労働力をめぐる競争などが、多くの人にとって耐えがたくなっています。

(同上)

「グローバル化による低賃金労働力をめぐる競争が耐えがたい」

読者の皆さん、是非安倍総理に教えてください。自民党が主張しているように、「移民毎年20万人」なんてやってたら…。それだけ労働者数が増えるので、日本国民の賃金は確実に下がっていきます。アメリカでも欧州でも、「もう移民は嫌だ!」といって見直しの機運が高まっている。それなのに日本は、「欧米がやっているからわが国もやらなければ!」。欧米で失敗した政策を真似るのは、いい加減やめてほしいものです。

そしてトッドさん、「トランプ現象」の理由を一言で表します。

これは、グローバリゼーション・ファティーグ(グローバル化疲れ)なのです。

(同上)

「トランプ現象」の理由は、アメリカ人の「グローバル化疲れ」! さすが、トッドさん。ぴったりの言葉を考え出しました。

イギリスは、なぜEU離脱を選んだのか?

次にトッドさん、イギリスのEU離脱について語ります。

──今、その米国人も英国人も国民国家の枠組みに戻ろうとしている、と。

 

「そうです。英国の場合、トランプ現象に当たるのはEU離脱問題です。原動力は、あまりにたくさんの移民を受け入れることへの拒否反応です。英国でも民族や国民という問題が優先課題になったのです」

 

「英国の国民投票は、EU離脱を求めた大衆の声と残留を訴えたエリートたちの対決でした。英国には、エリートに敬意を払うという伝統があります。しかし、それも指導層が国民の安全を守っていると考えられる時に限られます。国民投票の結果は、グローバル化に対する批判です」

(同上)

イギリスのEU離脱は、「反移民」「反グローバル化」であると。「移民推進派」の政治家さんにも是非聞かせたい言葉ですね。

EUの未来は?

次にトッドさん、EUの未来について語ります。

──エリートたちが主導した欧州統合の未来は?

 

「アイデンティティーの危機、共同体に帰属しているという感覚の危機が生じています。たとえばフランスへの帰属意識は低下している。けれども欧州に帰属しているという感覚はもっと弱い。欧州は、国民国家が消滅することへの治療法を生み出していません。むしろ重症化させています。

(同上)

欧州の人たちは、「アイデンティティーの危機」に陥っている。自国への帰属意識が薄く、なおかつ欧州への帰属意識はもっと薄い。結局EUはどうなっていくのでしょうか? 決定的な言葉がつづきます。

今、EUは解体しつつある。最後に神話を粉砕したのは移民危機です。

(同上)

EUは、解体しつつある! EUも、かつてのソ連のように崩壊するのでしょうか?

多くの国で、「EU離脱の賛否を問う国民投票を行う」と宣言している勢力が力を増しています。トッドさんの母国フランスでは、来年大統領選挙がある。マリーヌ・ルペンさんが当選し、国民投票が実施される。そしてフランス国民がEU離脱を選択すれば、EUは実質終わりですね。

そんな可能性も現実味をおびてきています。

image by: Wikimedia Commons

 

『ロシア政治経済ジャーナル』

著者/北野幸伯

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出典元:まぐまぐニュース!