金正恩氏

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韓国の聯合ニュースは12日、北朝鮮事情に詳しい消息筋の話として北朝鮮の秘密警察「国家安全保衛部(以下:保衛部)」の局長級のA氏が脱北し、昨年、韓国に入国したものと報じた。

女子大生まで拷問

保衛部は、職員・協力者を合わせ数十万人の情報網を北朝鮮社会のあらゆる場所に張り巡らせ、国民の一挙手一投足を監視している。ナチス・ドイツのゲシュタポ、第二次世界大戦中の日本で暗躍した特別高等警察のような治安機関だ。

強制収容所も運営する保衛部は、強引な取り締まりを厭わない。今年4月には韓流ビデオを保有していたという罪で女子大生を拷問するなど、まさに恐怖政治の象徴だ。

(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

保衛部のトップである金元弘(キム・ウォノン)部長は金正恩党委員長の最側近のひとりとして知られている。韓国政府は、正恩氏が執権してからの約5年間で、次官級以上の幹部100人が銃殺されたり、粛清されたりしたと見ているが、そんな中にあって、正恩氏から揺るがぬ信頼を寄せられていると見られる数少ない幹部のひとりが、金部長である。

ただし、こうした保衛部要員の脱北が相次ぐと、金部長の責任問題、すなわち粛清に及びかねない。

正恩氏がブチ切れて銃乱射?

聯合ニュースによると、脱北したA氏は韓国の関係機関に対して「平壌の民心は熱い」と供述したという。これは金正恩氏に対する北朝鮮住民の民心が悪化しているという意味とのこと。また、A氏の脱北と関連して金正恩氏が次のように不快感をあらわにしたと報じた。

「どいつもこいつもよく逃げると思ってたら、ついには保衛部まで逃げやがった!」

聯合ニュースは8月に、正恩氏が「米国が自分を人権犯罪者扱いしていると言って激怒し、拳銃に実弾を装填して辺りに乱射した」と報じたことがある。あくまでうわさのようだが、事実ならば米国に対してだけでなく、保衛部をはじめ、次々と逃げていく党・国家機関の要人に対する正恩氏の苛立ちのあらわれだったのかもしれない。

いずれにせよ、金正恩氏の処刑部隊でもあり拷問部隊でもある国家安全保衛部の間でも、体制に対する動揺が拡がっていることは間違いないようだ。