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近年、ビジネスシーンで「デザイン思考」というフレーズが多く見られる。これは、デザイナーの思考法を取り入れ、ブレインストーミングによるニーズの洗い出し、プロトタイプの開発、ユーザーを交えたフィールドワークといった3つのフェーズを柔軟に行き来して、新規性のあるモノ・コトを作っていく手法を指す。

世界的なデザインエージェンシー・IDEOがフレームワーク化したこともあって、日本企業の中にも取り入れているところは増えてきている。しかしながら、大きなうねりになっているとは言えず、「自社では/自分の業界では耳にしない」という人もいるかと思われる。

前回は企業の枠を超えて"体験しながら考える"催しの実例を語っていただいた。今回はいわゆる「デザイン思考」のメソッドにはないクリエイティブエージェンシー・ロフトワーク独自のやり方とその実例について、同社の棚橋弘季氏と渡部晋也氏に伺った。

○コミュニティの力で新たな価値を創造

元々のデザイン思考そのものには入っていないやり方で、ロフトワークならではと思うものは、コミュニティを活用する手法だと思います。オリンパスの事例もそうなんですが、ロフトワークとメーカーという2者間ではなく、外部のクリエイターや開発者、先進的なユーザーなどを巻き込んでコミュニティを醸成しながらプロジェクトを進める。それがロフトワークのやり方のひとつの特徴ですね。

――なるほど。詳しく教えていただけますか?

ロフトワークは元々クリエイターのコミュニティ運営からスタートしている企業なので、コミュニティの力を信じています。例えば、パナソニックさんとのプロジェクトでは、パナソニックさんのエンジニアが外部の人を巻き込みながら新しい価値を作っていくための場として「Wonder LAB Osaka」をいっしょにつくりました。

そもそものきっかけはよくロフトワークに来ていただくパナソニックの方が、ロフトワークの10Fのワークショップやイベント、一人作業や打ち合わせにも使われている共創スペースを気に入ってくれたことでした。「ウチにもこういうことのできる空間が欲しい」、ロフトワークでのやり方を社内でもっと広げられるようにしたいということで、Wonder LAB Osakaをいっしょに考え、立ち上げました。

現在、Wonder LAB Osakaでは、ハッカソンや社内ピッチなどのイベントをパナソニックさん主催で頻繁に行っています。ロフトワークはその中の主要な活動においても企画や実施の支援を行ってもいます。はじめは社員さんだけのクローズなイベントだったのが、外のクリエイターも入れてみようということになったり、アウトプットを公表してみようという議論もでてきたり。場ができたことで文化がすこしずつ変わってきているように感じます。

それでもやはり、まだまだこのような場の意図を社内に浸透させるには、時間がかかるでしょうね。長年かけて作られた人の働き方や意識、組織の文化を変えていくというのはそんなにすぐにできるものではないですね。

(杉浦志保)