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結婚を考えていた彼がひそかに、私の下半身を盗撮していたーー。恋人のスマホに、自分の動画を発見した女性が、「今後の付き合いを考え直さなければいけないのかな」と、女性向けのコミュニティサイトの掲示板に投稿しました。

投稿者と彼は交際歴3年半。投稿者によれば「嫌な予感がして」、彼が入浴している隙にスマホを見てしまったそうです。すると「ラインや通話履歴に怪しいものは見当たらずホッとしていたら、カメラロールにとんでもないものを発見してしまいました」といいます。

「とんでもないもの」とは、投稿者がシャワーを浴びている動画。「幸い顔は映っておらず下半身だけ」だったそうです。以前ホテルに泊まったときに、投稿者がシャワーを浴びているところを、ドアの隙間から「盗撮」されたようです。

信用していた彼の裏の顔を垣間見た投稿者は、今後の付き合い方を考え直すべきかと悩んでいます。掲示板では「とりあえず全部削除してから別れた方がいい 」「リベンジポルノされかねない」と、投稿者の身を案じる声が多く寄せられています。

交際中とは言え、相手の入浴中の姿を相手に黙って撮影する行為は法的に問題ないのでしょうか。羽賀裕之弁護士に聞きました。

● ネットに公開したらリベンジポルノ防止法違反などに

今回の彼の行為に関しては、(1)迷惑防止条例、(2)軽犯罪法に触れるかどうかが問題となります。

迷惑防止条例は、各地方公共団体において制定されています。たとえば東京都の迷惑防止条例(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)には、今回のケースに該当しそうな禁止行為として、次のような行為が定められています。

『公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる場所又は公共の場所若しくは公共の乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること』(5条1項2号)

違反し、撮影した場合は、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処せられます。もっとも、同条項は、『公共の場所』等での撮影行為等を対象としています。そのため、本件のようにホテルの一室において行われた行為には適用されないでしょう。

では、軽犯罪法についてはどうでしょうか?

1条には、さまざまな禁止行為があげられていますが、今回のケースに該当しそうなものとしては、1条23号には、次のような行為が定められています。

『正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者』

違反した場合には拘留また科料(1000円〜9999円)に処せられることになります。

今回のケースでは、彼氏はシャワーを浴びているところを、投稿者の同意なく撮影したわけですから、「浴場」を「ひそかにのぞき見た者」にあたるでしょう。

問題は、「正当な理由がなくて」の部分です。この点の判断は難しいですが、交際中に二人で泊まったホテルにおける出来事であることから、現実には、同条項違反で処罰されることはないと考えられます。

以上のとおり、撮影行為自体を捉えて、処罰するということは難しいと考えられます。民事の損害賠償請求においても同様です。

ただし、当該動画をインターネット上にアップする等すれば、リベンジポルノ防止法違反や、刑法のわいせつ物頒布等の罪に該当します。

被害を未然に防ぐという観点から、直ちに削除するべきでしょう。



【取材協力弁護士】
羽賀 裕之(はが・ひろゆき)弁護士
越谷さくら法律事務所代表弁護士。離婚等の男女問題の他、労働問題、インターネット関連(誹謗中傷等)等多数取扱。 ツイッター:@jwinghaga フェイスブックページ:https://www.facebook.com/jwing.lawoffice
事務所名:越谷さくら法律事務所