仕事ができてもリストラに…そんな世の中の生き延び方

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 いろいろな企業のリストラの話を聞いて「クビになるのは仕事のできない社員だけ。自分には関係ない」と安心してはいないだろうか。

 リストラ対象となるのは、何もダメ社員ばかりとは限らない。優秀できちんと成果を上げていても突如、クビ切りに遭う可能性があるというのだ。

◆優秀な人でもリストラされる現実

 ソニーの17年間に及ぶリストラの全貌を実名取材で描いた『切り捨てSONY』の著者、清武英利氏は「ソニーのリストラ組には優秀な人材が多かった」と語る。

「ソニーでは毎年のように早期退職者を募っていた。ダメな社員もなかにはいますが、とんがった人材、経営陣や上司との衝突を起こしてしまった有能な社員がリストラ要員になるケースも多い。

 だから、能力が低いからといって必ずしもリストラ対象になるわけではない。むしろ一流企業だと、優秀な人材のほうが意外にリストラに手を上げる傾向にあります」

 また、「ソニーは合理的な経営に転換するなかで『個性は叩く』方針に変わった」と清武氏は語る。

「昔のソニーは創立記念日や伝統行事を大事にして、会社と社員の絆を大事にしていた。個性を尊重し、有能な社員を育てるという社風がありました。しかし、経営者が代わり、『出る杭を伸ばす』から『出る杭は打つ』の雰囲気に変わってしまった。今や多くの企業でも社員との絆を重視する余裕に欠け、個性の強い社員は目障りな存在に映ってしまうのです」

 とはいえ、ずっと「出ない杭」のままでいることも危ない。

「流されている40代は、いつリストラの波に襲われるかわからない。そういう人はまず、バケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)作りをするといい。常にマイ・イノベーションを起こそうという意識は持つべきです」

◆クビになっても最後はなんとかなる。私もそうでした!

2011年当時、読売ジャイアンツの球団代表を務めていた清武氏自身も、オーナーのコンプライアンス違反を告発したことで会社を追われた。

 だが、「一般にはリストラが人生の起爆剤になることもある」という。

「あの時はコーチのためにも『今ここで言わなきゃ一生後悔する』と思った。次のことも考えなかった。だから、本当に大切なのは『クビになっても負けないという気持ち』。クビから再起できた人はみんな何とかなっている。現に私も、もがきながら何とかなっていますから(笑)」

 気持ちさえ折れなければ、明日は開くことができるのかも。何が起こるかわからない人生、強く前を向いて歩きたいものだ。

【清武英利氏】
ジャーナリスト。’50年、宮崎県生まれ。読売新聞社に入社後、読売巨人軍球団代表兼編成本部長に。’11年に解任され、係争中。現在はジャーナリストとして活動する。著書『しんがり 山一證券 最後の12人』(講談社)で講談社ノンフィクション賞受賞。

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