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by North Charleston

「あのお店はおいしい」「この品は買うべき」など、世の中にはいろいろな口コミ情報が溢れています。その情報は、必ずしもいいものばかりではなく、悪いサービス・ひどい商品にまつわるものもあったりします。こうした情報は一度ネットに出回ると消すことは難しいため、情報を氾濫させてその中に隠蔽してしまう逆SEOを行う業者も存在しますが、アメリカではページを削除させたり、検索エンジンのインデックスから消すことを狙った「ニセの訴訟」が行われているそうです。

Dozens of suspicious court cases, with missing defendants, aim at getting web pages taken down or deindexed - The Washington Post

https://www.washingtonpost.com/news/volokh-conspiracy/wp/2016/10/10/dozens-of-suspicious-court-cases-with-missing-defendants-aim-at-getting-web-pages-taken-down-or-deindexed/



ワシントン・ポストによると「疑惑の訴訟」は25件ほど存在。いずれの裁判も、悪評をなんとかしたい人物が原告となって誰かを訴え、被告は禁止命令に同意する、という形で終わっています。原告の背後には共通の組織がいると考えられていて、被告に関しては15件で住所が判明しているものの、私立探偵が調査を行っても被告を見つけることはできなかったそうです。

そもそも、でっち上げられた被告から賠償金を得ることはできません。それでも裁判を行う理由には、たとえばGoogleの運営するサイトからの情報削除や、インデックスからの削除は正面から申し立てを行っても受理される可能性が極めて低いのに対して、「あの情報は中傷的である」という裁判所命令を持っていけば、すぐに処理が行われることを利用するためです。

A suspicious strategy in alleged online libel cases? [UPDATE: Ostensible plaintiff now says case was filed without his knowledge or permission] - The Washington Post

https://www.washingtonpost.com/news/volokh-conspiracy/wp/2016/08/19/a-suspicious-strategy-in-alleged-online-libel-cases/

Georgia Dentist Mitul Patel Takes Phony Litigation Scheme to New Extremes Trying to Suppress Criticism (CL&P Blog)

http://pubcit.typepad.com/clpblog/2016/08/georgia-dentist-mitul-patel-takes-phony-litigation-scheme-to-new-extremes-as-a-way-of-suppressing-cr.html

事例の1つは、ジョージア州在住のマシュー・チャン氏が歯科医のミツル・パテール氏に関して、レビューサイトのYelpなどでネガティブなレビューを投稿していたというもの。Yelpへのレビュー投稿から数ヶ月後、チャン氏のもとにYelp運営から「あなたの投稿したコメントは中傷的であると裁判所が判断して、削除命令が出ました」という知らせが届きました。

これに驚いたチャン氏が調べてみると、ボルティモア在住のマシュー・チャンという人物を相手取ってパテール氏らが裁判を起こし、チャン氏の書いたレビューを削除することが決まったと分かりました。ただし、チャン氏の名前の綴りは「Matthew Chan」ですが、裁判にかけられたのは「Mathew Chan」。また、チャン氏はジョージア州コロンブス在住ですが、訴えられた人物の住所はメリーランド州ボルティモア在住という違いがありました。それでもYelpをはじめ、いくつかのレビューサイトはこの裁判所命令を受けて、チャン氏によるレビューを削除しました。

ノース・カロライナ州在住のスティーブ・ロード氏は「Get Out of Debt Guy」というサイトを運営する債務救済を扱うジャーナリストで、債務救済会社について不利なことを書いていました。これに苦しめられたレスキュー・ワン・フィナンシャルという会社は、ブランドリー・スミスCEOを原告として、ロードアイランド州在住の「デボラ・ガルシア」という人物が会社を侮辱したと訴えて勝利。その裁判所命令を持ってGoogleにインデックスからの削除を求め、受け入れさせました。

ほかの事例も含めて、この手の裁判が始まったのは2015年11月からで、主導しているのはリチャード・ルディ氏の率いる「RIR 1984 LLC」であることがわかっていますが、ワシントン・ポストでもコメントは取れなかったとのことです。