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by The Schøyen Collection, Oslo and London

死海文書(死海写本)」について、新たな断片の存在が明かされました。この破片には、これまで「死海文書」の中では見つかっていなかった旧約聖書のネヘミヤ記が含まれているとのことで、最古のネヘミヤ記である可能性がありますが、一方で学者は断片のうちいくつかは偽物ではないかという懸念を示しています。

25 New 'Dead Sea Scrolls' Revealed

http://www.livescience.com/56428-25-new-dead-sea-scrolls-revealed.html



Are These New Dead Sea Scrolls the Real Thing?

http://www.livescience.com/56429-are-new-dead-sea-scrolls-forgeries.html

「死海文書」は旧約聖書の写本や聖書関連の文書の一群のことで、死海近く、ユダヤ砂漠のクムランの遺跡発掘現場にあった11の洞窟から、1947年から1956年にかけて数千の紙片として見つかりました。もとは900枚ほどの紙だったとみられます。

これらは、紀元66年から74年にかけて起きたユダヤ戦争の際、クムランの洞窟に隠されたものだと考えられています。制作者については諸説ありますが、ユダヤ教エッセネ派とする説が有力です。

新たに発表された「死海文書」の断片は25個。うち13個は美術品店のオーナーであるスティーヴ・グリーン氏が2009年と2014年に聖書博物館に寄贈したもの。ただし、どこからどうやってきたものなのかは販売者が説明しなかったとのことで、その品の真贋も含めて不明。

しかし、その中に、これまでに「死海文書」として見つかったことのないネヘミヤ記があることがわかりました。ヘブライ大学のイマニュエル・トーヴ教授は、おそらくクムラン遺跡でも特に膨大な量の断片が見つかった第4洞窟から出てきた品だと推測しています。

一方、ノルウェーの収集家マーティン・シエーエン氏のもとにある断片は、1950年代にベツレヘムのシャヒーンの店で収集家が手に入れたものをその子孫から入手したり、チューリッヒ在住の収集家から手に入れたり、1948年にクムランの洞窟で作業をした学生が現場監督からプレゼントとしてもらったものを譲り受けたりしたもの。

シエーエン氏は1986年から聖書の収集を始めて、最終目標が「死海文書を手に入れること」だったそうです。当初は「ミッション・インポッシブル」だったはずなのですが、やがて死海文書の断片の入手に成功し、今や、27の巻物について115の断片を所有しているとのこと。それぞれ、クムランの第1・第4・第11洞窟、およびユダヤ砂漠にある他の洞窟で見つかったものだとみられています。

ちなみに、こうして死海文書の新たな断片が見つかるのはそこまで珍しいことではなく、ベルギー・ルーヴァン大学のEibert Tigchelaar氏によれば、2002年以降、アンティーク市場には約70の断片が出回ったそうです。そして、その中には当然ながら、偽物が混じっていました。今回見つかった断片についても、本物と偽物が入り交じっている可能性は十分にあります。

その観点から見れば、出所がわからないグリーン氏寄贈の断片はかなり怪しい気がするのですが、偽物だと断じることができない事情もあります。それは、1967年にイスラエルがヨルダン川西岸地区を占領後、クムランの洞窟で断片を見つけた場合はイスラエル考古学庁に寄贈しなければならない(スクロールの新規販売の禁止)という法律を作ったため。見つけた人間は、販売するときには「クムランの洞窟で見つけたもの」と言えないので、出所不明の断片になってしまうというわけです。

イスラエル考古学庁も、「おそらく死海文書について未発見の断片は多数あるものの、盗人が見つけているだろう」とコメントしていて、現地では報道も行われています。

Arab Gang Charged with Trying to Steal the Dead Sea Scrolls

http://www.jewishvoiceny.com/index.php?option=com_content&view=article&id=9442&lang=en



とはいえ、政府も黙って見ているわけではなく、リバティ大学のランドール・プライス教授とヘブライ大学考古学研究所のオレン・ガットフェルド氏が率いる研究チームが、ユダヤ砂漠での発掘調査を2016年12月から開始予定。イスラエルでは国を挙げて事業に取り組み、洞窟に残されているすべての死海文書を掘り出し、保存することを最終目標としているとのことです。