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派遣先企業でのパワハラ被害を知りながら、必要な対策を取らないまま、雇い止めしたなどとして、都内に住む元派遣社員の男性(30代)が、派遣会社リクルートスタッフィング」(リ社)と派遣先の企業、加害者の従業員2人に対し、損害賠償や未払い賃金約650万円などを求めて10月11日、東京地裁に提訴した。

男性は、雇用主であるリ社が、派遣元企業としての安全配慮義務を欠いたと主張。パワハラ被害を申告されたら、事実関係を調査した上で、派遣先に対して男性を受け入れるよう説得するか、代わりの派遣先を用意する必要があったが、その努力を怠ったと訴えている。

●「助けてもらえると思って相談したのに」

訴状などによると、男性は2014年12月、生地販売会社に派遣された。翌1月ごろから、派遣先の社員2人から、「バカ」などの暴言や、頭を叩くなどの暴力が振るわれるようになった。不眠や対人恐怖などの症状が出るようになり、3月には、医師に「抑うつ状態」と診断された。

そこで、男性はリ社にパワハラ被害を相談。3月中旬には、リ社も交えて派遣先との面談がセッティングされたが、具体的な解決策は出なかったという。そこで、男性が改めて、リ社に相談を持ちかけると、4月に入って、リ社から「明日から出勤しなくてよい」と通告された。男性はその後、派遣先に出社できないまま、5月末の雇用期間終了をもって、リ社も雇い止めされた。

雇い止めから半年後の昨年11月、パワハラによる労災認定を受けている。

提訴後、厚労省記者クラブで会見した男性は、「助けてもらえると思って相談したのに、派遣会社(リ社)は企業寄りで、絶望を感じた。派遣先で問題が起きても、派遣労働者は派遣会社からなかなか守ってもらえない。派遣というシステムの問題についても目を向けてほしい」と話していた。

リ社の広報担当者は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「訴状が届いていないのでコメントできない。派遣先でトラブルがあったときは、営業担当やフォロー担当が状況に応じて対応している」と回答した。

(弁護士ドットコムニュース)