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東京大学(東大)は10月11日、微弱な光や短時間の光照射でも極めて高い効率でDNA組換え反応をコントロールできる技術の開発に成功したと発表した。

同成果は、東京大学大学院総合文化研究科 河野風雲特任研究員(研究当時、現コロンビア大学リハビリテーション再生医療学科博士研究員)、大学院生の岡崎里紗子氏、佐藤守俊准教授、コロンビア大学リハビリテーション再生医療学科・薬理学科 矢澤真幸助教授らの研究グループによるもので、10月10日付の米国科学誌「Nature Chemical Biology」に掲載された。

狙った遺伝子の塩基配列をゲノム上からノックアウト、またはゲノム上にノックインするための簡便な方法として、Cre-loxP部位特異的DNA組換え酵素反応が広く利用されている。近年、生体での遺伝子のはたらきを解明するための技術として、化合物や光を使ってCre-loxPシステムを人為的にコントロールする技術に興味が持たれており、特に、光でのコントロールを実現できれば、狙った生体組織や細胞を標的として、任意のタイミングでDNA組換えを誘導することができるようになる。しかし、光を利用した従来の技術はいずれも、DNA組換え効率が著しく低いという課題があった。

今回、同研究グループは、二分割して一時的に活性を失わせたDNA組換え酵素(Cre)に光スイッチタンパク質を連結し、光照射でDNA組換え反応をコントロールできる光活性化型Creを開発することに成功。同酵素を「PA-Cre」と命名した。

PA-Creは、従来の光遺伝学で使われている光の強さの10万分の1程度の微弱な光照射でも十分に機能し、高い効率でのDNA組換えを実現しており、わずか30秒程度の短時間の光照射でも十分にDNA組換えを誘導できることが示されている。また、PA-Creを用いて狙った場所でのみDNA組換えを起こせることも実証されている。

さらに、同研究グループは、開発したPA-Creをマウスの生体深部における遺伝子の光制御に応用。この結果、PA-Creは、生体外からの非侵襲的な光照射方法を用いた場合でも、マウス生体深部の肝臓において、DNA組換えを極めて高い効率で誘導できることがわかった。

同研究グループは、同技術により従来では不可能であった生体深部での遺伝子のはたらきを生体外からの非侵襲的な光照射によってコントロールすることができるようになったとしており、病因や疾患に関わるさまざまな遺伝子の機能解明に役立つことが期待できると説明している。

(周藤瞳美)