簡単な用件でも電話してくる人が嫌いです――会社の風潮に疑問・男性35歳の悩み

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【佐藤優のインテリジェンス人生相談】
“外務省のラスプーチン“と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

◆簡単な用件でも電話してくる人が嫌いです
非インテリ(ペンネーム) 会社員 男性 35歳

 すぐ電話してくる人が嫌いです。メールやLINEがこれだけ発達しているのに、わざわざ簡単な用件を伝えるために電話してくるなと。非効率です。今では瞬時にメールも確認できるというのに。なのに、文化的にうちの会社は(うちの会社だけではないかもしれませんが)、何事も電話でやりとりしろ、メールはコミュニケーションではない、という風潮があります。確かに昔の人は電話でのやり取りが中心だったので、年配の人は一方通行のメールのやりとりには人間味がないと感じるのかもしれません。

 私が単に話すことに億劫さを感じているところもありますが、佐藤さんはどのようにお考えでしょうか? やはり、対面で会ったり、電話したりするコミュニケーションを徹底したほうがいいのでしょうか?

◆佐藤優の回答

 対面で会わないと、リアルな人間関係がわからなくなる危険があります。作家の湯山玲子さんとの対談でAV監督の二村ヒトシさんがこのように言っています。

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二村:若手のAV男優を見ていると、撮影現場の数が増えているから彼らは何百人の女優と、売れてる人だと1000人以上の女優との本番を数年で経験しちゃうんだけど、上の年代の男優と違って、セックスがあっさりしている。今の撮影現場は、女優がイカない人だと、イッたふりをしてもらって、男優が射精してそれで終わりというのが多いからです。

 昔は、どうしてもイカない女優を、丸一日とか二日とかかけて、同じ男優がじっくり挑むみたいな撮影が それなりにあった。今は、そういう撮影をする予算もないし、需要もない。そうすると若い男優は発射回数はこなせるんですが、チンコの硬さではベテランに劣ったりする。肉体の問題じゃなく、脳の中に「エロさ」のイメージが少ないからだと思う。でも、本当にスケベな男性、女性の欲望に応えることを人生の目的にするような男性が完全に滅びてしまうとは、 やっぱり思えない。

(中略)

 だからこそ、大人の女性が、若い男の子たちを見下したり劣等感を抱いたりするんじゃなくて、“対等な人間”になることで彼らを性的に教育していってほしい。ただ、かっこいい若者は、恋愛中毒の若い女の子と「つまらないセックス」をしていて、彼らなりに絶望しているようなんですよ。そういうんじゃない、まだあか抜けていない純情な男の子の中に教育しがいのある優良物件がいると思うんだけど。〉(『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』35〜36頁)

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 若手のAV男優がセックスにあっさりしているのは、リアルな人間関係が希薄になっていることと関係していると思います。こういうAVの需要者である男性たちも、リアルなセックスよりもバーチャルかつ、一方的な情報伝達に慣れてしまい、実際に女性とセックスすることが苦手になってしまうのだと思います。

 私も、メールやSNSも重要なコミュニケーション手段であるというあなたの意見に賛成します。一応、双方向性も担保されています。しかし、問題なのは、その場で使用される言葉が単純なので、テキストのやりとりだけを繰り返していると、読む力が衰える点にあります。読む力が衰えると、聞く力、話す力、書く力も、それに併せて衰えていきます。その結果、知力が弱くなっていきます。

 こういうリスクがあるので、メールだけでなく、直接、対面で実際に人と会うことはとても重要です。それですから、あなたにとって重要な人との関係については、メールやSNSではなく、直接会うことをお勧めします。それができない場合は、スカイプなどのテレビ電話を使って、息づかいを感じるような関係を維持することがいいと思います。

【今週の教訓】
人間関係の希薄さはセックスに表れる

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【佐藤優】
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数