9月の「チャイナリスク」関連倒産は8件(前年同月比42.8%減)で、4カ月連続で前年同月を下回った。負債総額は23億8,800万円(同98.0%減)と大幅に減少した。これは前年に第一中央汽船(株)(TSR企業コード:291084648、東京都、東証1部)が負債1,196億700万円を抱え東京地裁へ民事再生法の適用を申請した反動。
 2016年1-9月累計は81件で前年同期の72件(12.5%増)を上回っている。要因別では、「コスト高」が51件(前年同期38件)と大半を占めたが、「中国景気減速」も6件(同3件)と中国の景気減速の影響による倒産も2倍となっている。
 なお、倒産に集計されないものの事業停止や破産準備中などの「実質破綻」は、9月は発生がなかった(前年同月ゼロ)。


  • 「チャイナリスク」関連の集計基準
    「チャイナリスク」関連の経営破綻は、破綻の原因が次の8項目のどれかに該当するものを集計している。
    1. コスト高(人件費、製造コストの上昇、為替変動など)
    2. 品質問題(不良品、歩留まりが悪い、模倣品、中国生産に対する不信など)
    3. 労使問題(ストライキ、工場閉鎖、設備毀損・破棄など)
    4. 売掛金回収難(サイト延長含む)
    5. 中国景気減速(株価低迷、中国国内の消費鈍化、インバウンドの落ち込みなど)
    6. 反日問題(不買、取引の縮小、暴動など)
    7. 価格競争(中国の在庫調整に伴う相場下落、安価製品との競合など)
    8. その他
    ※ 2016年4月の発表分から、より実態に即した集計とするため、集計基準に「7.価格競争」、「8.その他」を追加した。2016年3月以前の発表分についても遡って計上している。
    ※ 「チャイナリスク]関連の経営破綻は、下記の「倒産の定義」のいずれかに該当するケースを「倒産」として集計。「事業停止」や「破産申請の準備中」などは、倒産とは区別し「実質破綻」としている。
  • 倒産の定義(対象:負債額1,000万円以上の法人および個人企業)
    A. 会社更生法、民事再生法、破産、特別清算を裁判所に申請した企業(法的倒産)
    B. 手形決済などで6カ月間に2回の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた企業(私的倒産)
    C. 企業が経営破綻により事業継続を断念したが、法的手続きを採らず弁護士などに事後を一任して私的整理(内整理)を明らかにした企業(私的倒産)
    ※「チャイナリスク」関連倒産の集計開始は2014年1月。

チャイナリスク関連倒産月次推移

 1-9月の「チャイナリスク」関連倒産は81件となった。倒産企業の特徴は、業種別では「繊維・衣服等卸売業」や「繊維工業」、「なめし革・同製品・毛皮製造業」、「織物・衣服・身の回り品小売業」など、アパレル関連が40件(構成比49.3%)を占めた。こうしたアパレル関連の企業は、中国国内の人件費高騰などを中心に製造・仕入コスト上昇など「コスト高」を要因とするケースが多い。
 9月のチャイナリスク関連倒産は8件だった。音響機器製造の(株)佐野製作所(TSR企業コード:350053081、神奈川県、労使問題)は、中国に生産拠点を設立して業容拡大を図ったが、他社競合から資金繰りが厳しく給料が遅配。2014年に中国工場で労働争議が発生し、工場の操業停止に追い込まれた。その後も再建見通しが立たず横浜地裁に破産を申請、9月29日に同地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は5億4,800万円。
 自動車部品、携帯電話アクセサリー販売を手掛けていた(有)スプラッシュ(TSR企業コード:310918464、埼玉県、売掛金等回収難)は、2015年春頃から中国企業に対して売掛金の回収遅延が発生し、資金繰りが悪化。経営者の死去も重なり、8月30日にさいたま地裁川越支部から破産開始決定を受けた。負債総額は6億8,000万円。
 ここにきてチャイナリスクに起因した倒産要因は多様化している。倒産は沈静化しているものの、引き続きリスクを見極めながらの事業展開や取引条件の判断が必要だろう。