写真提供:マイナビニュース

写真拡大

2016年10月7日、米労働省が発表した9月雇用統計は、(1)非農業部門雇用者数が前月比15.6万人増(事前予想17.2万人増)、(2)失業率が5.0%(同4.9%)、(3)平均時給が25.79ドルで前月比0.2%増(同0.3%増)、前年比では2.6%増(同2.6%増)という内容であった。

(1)非農業部門雇用者数は、事前予想を下回る15.6万人の増加にとどまり、2カ月連続で20万人台に届かなかった。前月分がわずかに上方修正されたが、前々月分が下方修正された結果、3カ月平均は19.2万人増となり再び20万人台を割り込んだ。

(2)失業率は、横ばい予想に反して5カ月ぶりに5.0%に上昇した。このところ、失業率の改善基調は一服しているが、同時に労働参加率も上向いており9月は6カ月ぶりの62.9%に上昇した。職探しをあきらめて労働力人口から外れていた人々が求職活動を再開したためと見られ、これが失業率の下げ渋りにつながっている模様だ。

(3)平均時給は、前月の25.73ドルから0.06ドル増加した。前月比の伸び率は+0.2%と予想を下回ったが、前年比では2.6%と予想通りの伸びを示した。賃金が急激に上昇する気配は依然として感じられないが、緩やかな上昇基調は維持されている。

今回の米9月雇用統計は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ時期を読む手掛かりとして注目が集まっていたが、全体的に予想に届かなかった事から芳しい内容ではなかったとの評価が一般的なようだ。発表後は米ドル安が進行し、米国株と米長期金利も小幅に低下した。ただ、米国の労働市場が「完全雇用」に接近していると指摘される中、15.6万人という雇用増加は及第点と言っても良いだろう。失業率の上昇についても、労働参加率の上昇を伴っているため「悪化」との印象はない。「完全雇用」が近いにしては賃金の伸びが穏やかな点にやや物足りなさはあるが、全体として見ればまずまず良好との評価が妥当ではないだろうか。米9月雇用統計発表後の12月利上げ確率(短期金利市場における利上げ織り込み度合い)は前日の63.4%から65.1%へわずかながらも上昇している。なお、11月利上げの確率はわずかに低下したが、市場は米大統領選直前にあたる11月の利上げはもとより見込んでいなかった。

○執筆者プロフィール : 神田 卓也(かんだ たくや)

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長。1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信(デイリーレポート『外為トゥデイ』など)を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。Twitterアカウント:@kandaTakuya

(神田卓也)