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近年、ビジネスシーンで「デザイン思考」というフレーズが多く見られる。これは、デザイナーの思考法を取り入れ、ブレインストーミングによるニーズの洗い出し、プロトタイプの開発、ユーザーを交えたフィールドワークといった3つのフェーズを柔軟に行き来して、新規性のあるモノ・コトを作っていく手法を指す。

世界的なデザインエージェンシー・IDEOがフレームワーク化したこともあって、日本企業の中にも取り入れているところは増えてきている。しかしながら、大きなうねりになっているとは言えず、「自社では/自分の業界では耳にしない」という人もいるかと思われる。

前回はオリンパスとの協業事例を解説いただいたが、これからそうした「ユーザー・ニーズ主導」の手法を取り入れたい企業は、そのきっかけをどうつかめばよいのだろうか。引き続き、クリエイティブエージェンシー・ロフトワークの棚橋弘季氏と渡部晋也氏に伺った。

――前回のオリンパスの事例に関してもそうですが、やはり手法として紹介するより、当事者として参加してみることが一番大切なんですね。

棚橋:ええ。クライアントの皆さんが欲しいと思っているのは、手法でなく自分たちの課題を解決することなんです。最初の話に戻るのですが、やはり具体的な「デザイン思考」といった単語を出すと、その解説に労力を割かないといけなくなってしまいます。それよりは、これまでの事例をお見せして、「じゃあ、ウチもこういう方法で」と乗っていただけるように導くようにしています。

デザイン思考でプロトタイプを作ろうというのも「体験しながら考える」ことですし、フィールドワークも「体験している人の輪のなかに入っていって、自分も体験してみる」ことです。デザイン思考の根幹には体験がある。体験しながら思考するということ自体がメソッドになっている。だからこそ、それを言葉だけで伝えるというのは難しい。だったら、言葉で説明するより、体験してもらえる機会を増やすほうがよいと考えてます。

その意味では、いきなり本気のプロジェクトから始めようとするとハードルが高くなってしまうので、FabCafeを会場にしたアイデアソンなどのイベントに参加していただいて、「あ、これなら行けそうだね」と理解していただくのが近道だと思っています。

渡部:企業などの枠を超えていろいろな人と新しいモノを考えよう、作ろうというメッセージを体感できるような企画を随時実施していますので、検討段階の企業の方は、まずこうした取り組みに参加いただけると嬉しいですね。

直近ですと、CEATEC Japanと一緒に「未来をデザインするIdeathon vol.7 拡張する身体/進化するIoT」というアイデアワークショップを行いました。連続開催しているワークショップシリーズ「未来をデザインする」のうちのひとつなのですが、CEATECにからめてIoTというテーマを設定して、そこに身体拡張という切り口を加え、いろいろな人たちとIoTテクノロジーの未来を考えてみましょうというものでした。

――参加者はどんな方が多かったのでしょうか?

企業の商品企画や開発に携わる方が多かったですね。その中に、一般公募の方とロフトワークから招待した方が参加したことで多種多様な方が集まり、半日かけてアイデアの発案から、ストーリーボードへ落とし込むところまで行いました。

(杉浦志保)