写真提供:マイナビニュース

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突然だが、最近見た"遠くのもの"はなんだろうか。筆者の場合、残念ながら信号や地下鉄の改札口くらいしか浮かばなかった。「私たちはいつも、遠くを見て暮らしている」というのは、とあるモンゴル人の言葉。確かにそこには、日本人の日常では感じられない"遠くのもの"が満ちあふれていた。

○日本からビュンと5時間

モンゴルへは成田空港から直行便で約5時間。首都・ウランバートルとの時差は1時間なので、時差に悩まされることもない。日本人からすると、"遠いようで実は近い場所"と言えるだろう。大陸性気候により年間を通じて乾燥しているものの、日本と同じような季節感がある。ただし、10月下旬には気温が零下になり、12〜2月ともなれば-20度の世界が広がる。ベストシーズンはさまざまな草花が芽吹く6〜8月となる。今回、10月上旬という"滑り込みセーフ"な季節に訪れることにした。

日本の約4倍となる国土には約300万人が暮らしており、その約半分に迫る人々がウランバートル在住とのこと。ウランバートル市内から車で15分程度走ればすぐに草原が現れ、草原の中に街が築かれたことを実感する。地元の人の話によると、そもそもウランバートルのつくり自体がそれだけの人口を抱えられる構造になっていないため、現在マンションが次々と建てられているとのこと。骨組みだけのまだ建設途中の建物も多く見受けられた。

○"エンドレス揚げパン"に注意!

ウランバートルから東北東へ車で約1時間行くと、モンゴル有数の景勝地・テレルジに着く。この辺りは草原や川の他、奇岩も多い。丘の上に鎮座する「亀石」と呼ばれる約15mもの岩があることで知られているが、亀石級の岩がゴロゴロしており、スケールの大きさに圧倒される。今回の旅の宿は、テレルジ国立公園内に位置する「タミルウェルネスツーリストキャンプ」とした。

このツーリストキャンプだけでなく、周囲には遊牧民の家であるゲル(モンゴル語で「家」の意味)に泊まれる宿がいくつかある。ゲルの中は見た目よりも広く、中心には薪ストーブが設置されていた。天井から半分日が差すが、これは日時計の役割があるという。

ひときわ大きいゲルはレストラン&バー。遊牧民たちはほとんど野菜を食べず、野菜が嫌いな人も少なくないが、レストランでは観光客向けに野菜もしっかり用意してくれている。もちろん、モンゴルならではの羊肉の料理もしっかりいただきたい。個人的には、朝食に提供される揚げたての「ボールツォク」(揚げパン・菓子)がオススメだ。フレッシュな無塩バターを付けて食べる、また付けて食べる、ということを繰り返してしまい、おかわりをねだってしまったほどである。

また、敷地内にはトイレとシャワー施設のほか、卓球やビリヤードができる施設もある。訪れている外国人とともに卓球でコミュニケーションをしてみるのもいいだろう。そして夜には満天の星が広がる。10月上旬ですでに零下に迫る寒さのため、星空観測をする場合は防寒対策は万全にしておきたい。

○大自然と馬が教えてくれるもの

ツーリストキャンプはテレルジ国立公園内にあるため、ちょっと歩けば人工物が一切見えない、見渡す限りの大自然を体感できる。自分の足で踏みしめていくのもいいのだが、ここはモンゴルらしく、馬に乗って草原を駆けてみたいところ。

乗馬経験がない人も心配無用。筆者も乗馬未経験だったが、初心者用の馬を用意してもらい、ガイドのほか馬を提供してくれた遊牧民が一緒だったため、安心して乗馬を楽しむことができた。ただし、絶対安全とは限らないため、乗馬の予定がある人は出発前に旅行保険に加入をしておこう。

3時間程度の乗馬でも、遊牧民宅を訪れたり、僧侶が隠れ住んでいた岩の洞窟を訪れたり、巨大な亀石を訪れたりと、さまざまなコースをとることができる。羊やヤクたちに遭遇することもしばしば。道中の壮大な風景はもちろん、ゆったり歩く馬から伝わる振動も相まって、心地いい時間を過ごしていることを実感した。あれは鼻歌だったのだろうか。遊牧民たちがのびやかに奏でる歌を耳にし、歌は遊牧民たちのためにあると思った。

ちなみに、乗馬2日目はテレルジに今季初の雪が降った。馬も滑るため、2日目はゆっくりとした歩みでめぐるようになったが、草原とはまた違った白銀の世界は、それはそれで味のあるものだった。夏には青々と茂った草原が一面に広がり、丘にはアザミやエーデルワイスなどさまざまな花が色を添えるという。

2016年はこの10月でシーズンオフになるところが多い。バナナで釘が打てるほどの寒さになる冬のモンゴルを楽しむのも一案だが、地元の人は「今度は花が咲く季節に来るといい」と話してくれた。自然の中で生きている。そう思える旅をしに、モンゴルを目指してみてはいかがだろうか。

※記事中の情報は2016年10月のもの

(松永早弥香)