いまある日常をすべて捨て、自由気ままな無期限の旅に出る…あこがれはあれど、簡単にできることではありません。それをスパッと決断。6歳の娘とアジア圏を暮らすように旅を続ける女性がいます。海外ノマドの彼女に言わせると、「旅をしながら生活する方が都市生活よりも安い」。

旅をしながら生活する方が
都会の生活よりも安くすむ

働きづめの毎日に追われていた2015年の秋、私(Evie Farrellさん)には6歳の娘エミーの顔を見る暇もなかった。一年後の今現在(9月に寄稿されている)、私と娘はベトナムのホイアンという街でスイカのジュースを一緒に飲んでいる。今日は屋台でそばを食べたり、田んぼの合間を自転車で走り抜け、ビーチでも遊んだ。

アジアの国々を巡る、夢のような1年。この街が今の滞在地だ。旅のコストは、私たちの国で普通の生活をした場合と比較すれば、ほんのごくわずか。

実家のあるシドニーでの生活費の高さといったら、どんな大都市にも劣らないほど。一般的な住宅ローンは平均世帯収入より約35%高く、そこに交通費、食費、光熱費が乗ってくれば、どうしたって財布は空になるか、家計は苦しくなる。

ある程度いい暮らしをするために頑張って働くことと、その暮らしを楽しむのに時間を割くことの両立は、じつのところなかなか難しいものだ。

忙しい毎日を埋め合わせるべく、数ヶ月おきにエミーを海外旅行へ連れて行っていたものの、どこか消化不良の気持ちがつねに付きまとった。そしていつしか私は、ボルネオ島での格安旅行を経てシドニーで過ごす普段の生活よりも、時間をかけてアジアの国々を旅行する方が格段に安いことに私は気付いた。

快適さよりも
はるかに大切なものがある

そこで長期旅行の計画を始めた私。旅行の計画は、使わない家財道具の整理へとつながり、旅行の費用をまかなうため売り払うことに。キッチンをリフォームするために貯めていた貯金も旅行の費用へ回し、ついには会社も辞めてしまった。

それでも、母と娘二人の思い出を作ることは、優雅な暮らしをすることよりもはるかに大切なことだと当時の私には思えたからだ。

保険と航空券を買い、旅行中に我が家を賃貸に出すため修繕し、出発の1ヶ月前から仕事を休んだ私たちの手元には、1年分の旅費2万豪ドル(約157万円)。シドニーでの生活費からすればほんのわずか、それでもアジアでの生活にはこれで十分だった。

ネットがつながれば
どこにいても仕事はできる

いまロングステイとも違い、私たちのように家族で長期旅行をする人は意外に多い。貯金と家賃収入がメインの私たちのような選択肢もあれば、旅の費用を道中で稼いでしまうアクティブな家族もたくさんいる。

たとえばオンラインビジネスや旅のブログの執筆、フリーランスでの仕事や現地でのスポット収入を得ることだって。旅行中に収入を得る方法は多様な働き方に等しく、それこそ星の数ほどあるはずだ。

それを支えているのがインターネット環境の改善だろう。最近では、宿泊施設のほとんどで安定した高速Wi-Fiが利用できるし、到着時に現地のSIMカードを買えば、電話やインターネットだって安価で使うこともできるから。

ウミガメとともに泳ぎ
トレッキングで汗を流す。
子どもには自然が教科書

さて、オーストラリアを出発して11ヶ月の間に私たちは11の国を訪れた。持ち物はバックパック1つとしあわせな気持ち。万里の長城でキャンプもすれば、タイでは救出されたゾウの世話をする手伝いもした。ボルネオ島では野生のオラウータンのすぐ側まで行ったり、モーケン族(ほぼ一年中海上で生活する海洋民族)の人々とも仲良くなった。フィリピンではウミガメとともにシュノーケルをし、台湾ではトレッキングで汗を流した。

娘のエミーはそれぞれの国で現地の子どもたちとともに、ビーチや湖や滝で泳ぎ、田んぼのあぜ道やホコリっぽい裏通りで遊び、スラム街にも飛び込んでいく。彼女を見ていると、“違い”なんて関係ない。どこの国でも子どもたちは同じ遊びを始めれば、お互いを好きになれる。それだけなんだ。

私たちが直面する困難を知りたがる人もたくさんいるけれど、じつのところ困難といえばシドニーであったものばかり。エミーがきちんと食べて、宿題をして、行儀よくして、夜更かししないようにすること。この夜更かしだって、1ルーム1ベッド生活では彼女に負担をかけてしまったかもしれないが。

長期旅行の最大の魅力は、
しばられない柔軟な生活

いま、私たちが滞在しているホイアンの宿泊費は1泊20豪ドル(約1570円)ほど。ゲストハウスのダブルサイズの部屋はなんとプール付き。これで朝食込みの値段と思えば悪くない。

一日に使うお金も、食費、交通費(基本は自転車だが)、アクティビティに費やしても平均で20豪ドルもあれば十分。これがシドニーだったら、オフィスまでの電車賃とコーヒー代に消えてしまう額だけど、ここでは不自由なく穏やかに過ごすことができる。 

滞在中、エミーは地元のインターナショナルスクールに1ヶ月通っている。旅行中初めての学校だ。小規模でのんびりとしたこの学校には、世界中の子どもたちが集まり、現地の文化とイギリス流の教育を体験する。みな裸足で登校するというのもオモシロイ。

実際、予定外の支出ではあったけど、友だちをつくってある程度の規則を持つことには大いに賛成だし、また別の国へと旅に出る前に1ヶ月間、腰を据えてこの地に落ち着くことができるのは良かったと思っている。

時間をかける旅行の最大の魅力はなんといってもその柔軟性にある。自分たちの好きなように行き来したり、急に行き先を変えてみたり。もちろん気に入った場所があれば、その土地に予定より長くい続けたっていい。

冒険に満たされたこの型破りな生活は、これまでの人生で最良の選択だった。私たち親娘にできるんだから、きっと誰にでもできるはず。この記事を読んでくれたあなたに、旅の途中で出会えることを願って。

長期旅行のための
9つのヒント

最後に、あなたが子どもと一緒に長旅ができるか。私から少しばかりのヒントを以下にまとめてみました。旅に出る日を楽しみに、参考にしてみては。

01.まずは貯金、貯金、貯金!

旅の始まりはここから。一円でも多く定額貯金へ。

02.家や車を持っている人は貸す

長い旅行中の定期収入は何かと役立つ。

03.持っているものはなるべく売ってしまう

オンラインで、フリマで、友だちにも。

04.訪れたい土地のリサーチは入念に

 目的地での生活水準はどのくらい?1日の生活費から大まかな計画を立ててみる。

05.ジョブチェンするならばクラウソーシングを

 今の仕事は遠隔地からも続けられるものなのか。PCさえあれば仕事になる時代、クラウドソーシングを有効活用する手も。

06.SNSはフル活用

 旅先の街でつながるため。Facebookグループで他の家族を探したり、子どもが参加できる現地のアクティビティを検索したり。

07.同じような長期旅行の家族をフォローする

 Instagramには、「mumpachtravel」など、手助けしてくれる人や新しい友だちを探すことにも役立つ。

08.荷物はできるだけ軽く!

 私の場合は、70リットルのバックパック。持ち物別に小分けバッグを利用したり。

09.子どもの教育環境を調査

エミーの場合、遠隔地に住む家族や長期間旅行する家族のためのNSW通信教育初等科プログラムに参加。同じような通信授業を上手に利用するなど。

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