幸福学で幸せをつかむ。4つの因子かんたん実践法【後編】

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「幸福」を科学的に研究されている、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司先生。前編では、幸福になるための四つの因子について、日々の生活のなかでの実践法などについてお伺いしました。後編では、幸福についてさらに深くお伺いしたいと思います。
何はともあれ、感謝と愛!
多くの人が気付いていることだとは思いますが、幸せとは、決して自分ひとりだけで得られるものではありません。
家族や友人たち、社会環境も含めて、自分を取り巻く人やものが幸せな状況であることが、人が心から幸せだと感じられる瞬間なのです。ではどうしたら、自分だけでなく周りも「幸せ」だと感じられるのでしょうか。
「簡単にできることは、とにかくみんなを愛することです。普段から感謝と愛をもって人と接していれば、たぶん(その想いは)伝わりますよね。直接的ではなくとも、五感で感じられると何かが変わるんです。自分が日々、感謝に満ちあふれ過ごしていれば、少しずつ周りの環境も変わってきます。大切なことは、無理に周りを変えようとしないこと。どんな人も一生懸命生きていますからね(笑)」(前野隆司先生)
前野先生によると、幸せは伝播(伝わる)するのだそう。幸せそうな人の周りには、同じように幸せそうな人たちがいることが多いのも納得です。
不幸せからの脱却も自分のこころ次第
ーー残念ながら、今、不幸せだと感じている方は、どうしたらその状況から脱却できるのでしょうか。
「不幸せな状況というのは、自分の心の持ちようと、外的要因から発生します。基本的にはトラブルを必要以上に悪く見ていることが多いので、まずは俯瞰してその状況を理解してみると良いですね。客観的視点で全体を見たうえで、その状況が自分に成長の機会を与えてくれていると感謝することです。気晴らしをするなど、一度距離をおいてみることも重要です。どんなにひどい状況でも、時間が経てば少しずつ弱まりますから。
また、誰かに話すことは自分の整理にもなりますから、周りに話を聴いてくれたり相談できそうな人がいれば、相談してみることで解決への道が拓けるかもしれません。このとき気をつけたいのは、不幸せも伝播するということを念頭に入れておくことですね」(前野先生)
「つねに今、この瞬間が最高に幸せだと思う」

ーービジネス界でも注目されているマインドフルネスですが、これを活用することで幸福度は上がったりしますか?
「マインドフルネスは幸福学の一部だと、私は考えています。幸福の四因子のうちの2つめの因子(つながりと感謝)は、幸せホルモンと呼ばれるセロトニン、オキシトシンが出ている状態です。これはマインドフルな状態と同じだと言えます。
また、マインドフルネスの"今ここに集中する"ということは、幸せの第一因子(自己実現と成長)と同じドーパミンが出ている状態なのです。つまりマインドフルネスな状態ということは、幸福学における第一因子と第二因子が同時に得られていることなのです。ですから、マインドフルな状態であることは、幸せをつくるためのベースづくりとしてとても重要なことだと思います」
幸せって、じつは難しくない(かも)
ーー最後に、前野先生が一番幸せを感じる瞬間はどんなときですか?
「いつも、今、この瞬間が幸せだと思っていますし、つねにそうでありたいと思いますね。だって、もともと土と空気だけだった分子たちが、こうして人のカタチになり、生きていられる。そう考えると、それだけで十分に幸せ。ほかには何も要りませんよね(笑)」
冒頭、前野先生が"幸せを定義することは難しい"とおっしゃっていました。幸せとは、人それぞれ違うもの。けれども、前野先生のお話から、幸せだと感じることは意外にも簡単なことなのだということがわかりました。
自分が幸せを感じられたら、周りも幸せだと思える......。それってとても素敵なことです。いま、この瞬間から"幸せ気質"にスイッチングしていきたいと思いました。
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お話を伺ったひと:前野隆司(まえのたかし)さん
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。ヒューマンマシンシステム、イノベーション教育、社会システムデザイン、幸福学、システムデ ザイン・マネジメント学などの研究に従事。著書に『脳はなぜ「心」を作ったのか』(筑摩書房)、『錯覚する脳』(筑摩書房)、『思考脳力の作り方』(角川書店)、「幸せのメカニズム」(講談社現代新書)、近著に「無意識の整え方」(ワニブックス)などがある。[SDM前野隆司]

撮影/中山実華(前野先生)/image via shutterstock

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