イラク戦の後半アディショナルタイムで見事なシュートを突き刺したのはC大阪に所属する山口蛍。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督を救ったのは、監督が「海外のフットボールと日本のフットボールの差はまだまだ歴然としている」と評したJリーグの、しかも2部に所属する選手だった。

日本代表は昔から2部リーグ所属の選手たちも活躍を見せてきた。1998年フランスワールドカップのメンバーには当時の2部に当たるJFLからは誰も選出されなかったものの、2002年日韓ワールドカップではC大阪から森島寛晃と西澤明訓の2人が選ばれ、森島は第3戦のチュニジア戦でゴールを挙げている。

また、2006年ドイツワールドカップではフランス2部リーグ、グルノーブル所属の大黒将志が選出された。2010年南アフリカワールドカップの際には2部リーグ所属選手はいなくなったが、2014年ブラジルワールドカップの際は、伊野波雅彦が磐田に、大迫勇也が1860ミュンヘンに所属していた。

また、J2時代も小野伸二(2000年浦和)、佐藤寿人(2008年広島)、乾貴士(2009年C大阪)、今野泰幸(2011年FC東京、2013年G大阪)、遠藤保仁(2013年G大阪)がいる。

他にも解説者として活躍している川勝良一は、法政大学在学中の1980年に日本代表として初出場し、1981年にJSL2部の東芝に入った後も選ばれ続けた。また、JSL2部時代の日本鋼管からGK松井清隆も日本代表入りし、1985年メキシコワールドカップ予選で活躍している。

今回、ハリルホジッチ監督は「試合に出場していない選手はメンバーに入れない」という言葉を撤回しなければいけなかったが、「2部の選手は使わない」とは言っていなかったことは救いとなった。それでも今後は選手の起用に条件を付けず「いいと思ったから選んだ」と口にしておくのが賢明というものだろう。

【日本蹴球合同会社/森雅史】