アレンジすると贅沢に変身する「めかぶごはん」

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 毎日料理を作ることは当たり前なのだろうか? そう感じて悩む人は少なくないだろう。毎晩同じような献立しか思いつかず嫌になる、仕事が忙しくて作る気にもなれない…。しかし、どうやら料理自体が嫌いではなく新鮮味を求めていたり、作る気力がなかったりするだけでもあったりする。そんな方にぜひ読んでもらいたいのが、『気ぬけごはん』(高山なおみ/暮しの手帖社)である。本書は連続テレビ小説「とと姉ちゃん」で、再び大きく注目された雑誌『暮しの手帖』にて連載されているエッセイを1冊にまとめたもの。料理家である著者の飾らない日常と、その中にある身近なごはんが紹介されている。その多くは非常にシンプルなのだが決して手抜きではない、しかし気を負わない「気ぬけごはん」なのである。そこで気になる3品を実際に作ってみることにした。

1、具材のシンプルさがおいしさに「豆腐のポタージュ」


 1品目は「豆腐のポタージュ」。イメージできそうでできないこのポタージュは、読んだあとすぐに作りたくなった1品である。まず水気を軽くきった木綿豆腐をすり鉢ですりつぶし、水を加えて溶きのばす。それを鍋に移し入れたら、牛乳・固形スープの素・ローリエ・塩を加え火にかけ、最後に塩と黒こしょうで味を整えたら完成だ。

 味はとてもまろやかで優しく、大豆の香りが口の中いっぱいに広がる。具材は豆腐だけで本当に充分なのだと思わせてくれるスープだった。また体も温まるので、秋冬の食卓に欠かせない存在となることだろう。

2、アレンジすると贅沢に変身する「めかぶごはん」


 2品目は「めかぶごはん」。まずこのネーミングに興味を持ったのだが、読み進めていると実にシンプルであるのに、贅沢なごちそうだと感じた。作り方は、パックに入っためかぶを小鉢に移し入れ、だししょうゆを加えよく混ぜ合わせる。粘りが出たらおろししょうがを加え、炊き立てのごはんにかけるだけだ。おいしいということは、もう誰もが想像できるだろう。

 しかし、ここにはアレンジが存在する。ボウルに、めかぶ・オニオンスライス・おろししょうが・みょうが・青じそ・かつお節・卵を入れグルグルかき混ぜ、だししょうゆを垂らす。それをごはんにかけていただくのだが、ねっとりした食感と薬味の香りがたまらないのである。基本のめかぶごはんを試したら、次はぜひとも「贅沢めかぶごはん」を味わってほしい。

3、上品なクリーミーさとピリッが決め手の「明太子カルボナーラ」


 3品目は「明太子カルボナーラ」。著者が明太子スパゲッティを作ろうと思ったら、明太子がほんの少ししかなかったことから生まれた料理だという。もしも自分なら絶対に明太子を使うことを諦めただろう…。作り方は、ボウルに溶き卵・粉チーズ・オリーブオイル・塩・カイエンヌペッパーを入れて混ぜ合わせ、そこに茹でたパスタを加えたら完成。

 これは我が家の定番にしたいと思わせるおいしさだった。全体的にあっさりしているが、上品なクリーミーさと明太子のピリッと感がクセになるのだ。最後に明太子をトッピングしたが、刻んだ海苔でも風味が増しおいしくなるだろう。

 本書の魅力は、気持ちがほっこり温まるエッセイの中にレシピが存在するという点。ありふれた日常を読み進めていくと、自然にレシピに繋がっていく。それが非常に心地良いのである。さらに、不思議と気持ちがリセットされ、がんばり方を少し変えてみようと思いたくなるのだ。そう、良い意味で気が抜けるとはこのことなのだ。

 レシピの中には「アスパラガスの鍋蒸し」「きゅうりの塩水漬け」など、1つの食材を蒸したり漬けたりした超簡単料理が登場する。しかし、そこにはひと手間が加えられていることに注目してほしい。たとえ1品1品がシンプルな料理でも、数が並べば食卓を彩るごちそうなのである。自分の心だけでなく、食べる人の心をもほぐすという「気ぬけごはん」で料理イヤイヤ期から抜け出し、がんばりすぎない毎日ごはんをはじめることをおすすめしたい。

文=くみこ