WEEKLY TOUR REPORT
■米ツアー・トピックス

 デービス・ラブIII(52歳)キャプテン(※監督に相当)率いる米国選抜チームが、8年ぶりに勝利したライダーカップ(※欧州、米国選抜のチーム対抗戦。9月30日〜10月2日/ミネソタ州・ヘイゼルティンナショナルGC)。数多くのエキサイティングなプレーや戦いが見られたが、なかでも注目を集めたのは、米国選抜のアシスタントキャプテンとして参戦したタイガー・ウッズ(40歳)の存在だった。

 はたして、その仕事ぶりは、どんなものだったのだろうか。

「(ウッズは)素晴らしいアシスタントキャンプテンだった。チームの一員として、選手たちを支える役目を遂行する姿は、これまでのウッズとはまるで別人だった」

 キャプテンのラブIIIは、ウッズの仕事ぶりをそう絶賛した。

 腰の手術によって、昨年のウィンダム選手権(8月20日〜23日/ノースカロライナ州・セッジフィールド)を最後に公式戦から遠ざかっているウッズ。プロになってこれほど長い間、表舞台から消えていたのは初めてゆえ、久しぶりに公の場に姿を現す彼の動向に、世界中が注目したのは当然のことだろう。これまで、どんな大会においても常にスポットライトを浴び続けてきたのだから、なおさらだ。

 ただ、今回のアシスタントキャプテンという立場からすると、そうやって、プレーする選手やキャプテンよりも目立ってしまうのは、決して好ましいことではない。

 その点、ウッズは十分に立場をわきまえていた。ライダーカップ開幕前から、ウッズは"黒子"に徹していた。個別でメディアに対応することも一切なかった。その分、米国選抜チームの面々とは、リラックスした表情で談笑したり、選手たちが練習レンジでショットを打つ姿を後ろで見守って、アドバイスを送ったりしていた。

 また、開催コースのヘイゼルティンGCについて、ウッズは熟知していた。2002年、2009年と同コースで開催された全米プロ選手権で、ウッズは優勝こそ逃したものの、ともに2位という好成績を収めている。彼のアドバイスが、米国選抜チームに与えた効果は計り知れない。メンバーのひとりである、ブラント・スネデカー(35歳)が言う。

「大会前にも、何度もタイガーから電話がかかってきた。タイガーから電話がくるなんて、そうそうあることじゃないから、なんだか不思議な感じがしたよ。でもそのときの、タイガーの熱意はすごかった」

 そんなウッズから、最もアドバイスを受けていたのは、パトリック・リード(26歳)だ。練習ラウンドからずっと、マンツーマン状態が続いた。もともとリードは、ウッズにならって最終日に赤いポロシャツを着て戦うほど、ウッズを尊敬し、ウッズの後を追い続けてきた選手だ。

 大会前の月曜日には、強風が吹く中で練習ラウンドが行なわれた。その際、多くの選手は前半9ホールで引き上げたが、リードは最後までプレーを続行。そのラウンドにも、ウッズは付いて回っていた。

「(ウッズから)ものすごくたくさんのことを学んだよ。タイガーから教わったテクニックは、今週だけじゃなく、ボクのこれからのゴルフキャリアに、きっと大きく生かされていくと思う」

 ウッズの強力サポートを受けて、そう興奮気味に語ったリード。大会本番では、ジョーダン・スピース(23歳)と組んで2勝を挙げ、シングル戦でも欧州選抜のエース、ロリー・マキロイ(27歳)との熱戦を制して、米国選抜を勝利に導く立役者のひとりとなった。

 リードの活躍は、まさにウッズの情熱を受け継いだものではないだろうか。現に、長年米国選抜のメンバーを務めるフィル・ミケルソン(46歳)も、ウッズのアシスタントキャプテンぶりをこう称賛した。

「タイガーのチームへの貢献は、想像以上に見事だった。皆、タイガーの情熱で一丸となっていたよ」

 さて、こうなると2年後、2018年のライダーカップ・パリ大会で期待されるのは、ウッズのキャプテン就任だ。ウッズ本人は、米国選抜の優勝に沸いた共同記者会見の席でこんな言葉を口にした。

「もしキャプテンの要請があったら? もちろん......、いつかはぜひやりたいと思う。だけど、今は選手として、もう一度プレーしたいと思っている」

 ウッズは来週、PGAツアー2016−2017シーズンの開幕戦、セーフウェイ・オープン(10月13日〜16日/カリフォルニア州・シルベラードCC)でいよいよ復帰する。そうした状況の中、選手としての活躍を望む彼の本音を聞くと、少しうれしくなった。

 選手としてではなく、サポート役に徹したライダーカップで、ウッズ自身もまた、何か得たものがあるはずだ。それが生かされるのは、選手としてなのか、それともチーム戦のキャプテンとしてなのか。いずれにせよ、約1年2カ月ぶりに戦い場に戻ってくるウッズの姿を、楽しみにしたい。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN