関東 日帰り 出会い旅 Vol.011 /衣食住を考える旅(群馬県前橋市)【前編】

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【毎週土曜 6:00 更新】
東京から90分以内の日帰り圏内。その円を広げてみると、そこにはとても豊かな自然や、新鮮な景色が広がっています。身近なようでまだ知らない「関東の田舎」で、地元を愛するみなさんと触れ合いながらの、楽しい週末旅はいかが? 今回は、女性たちの元気な町・群馬県の前橋へ。旅人は編集者/プランニングディレクターの磯木淳寛さん!



東京駅から新幹線に乗って80分。自然との距離が近く、町を見守る赤城山には手が届きそうなほど。また、明治時代から国内有数の生糸の生産地として栄え、現在は群馬県の県庁所在地でもある。詩人の萩原朔太郎が生まれた地としても有名。



アーツ前橋学芸員。2010年からアーツ前橋開館準備に携わり、展覧会企画と教育普及を担当している。主な展覧会に「服の記憶 私の服は誰のもの?」展(2014年)、「田中青坪 永遠のモダンボーイ」展(2016年)など。食をテーマにした「フードスケープ 私たちは食べものでできている」展を担当したことにより、日々の食生活を見直し中。趣味はキモノとスポーツジム通い。

◆食べる楽しみを発見するお店、3姉妹の『サンデールーム』

(前橋駅から徒歩12分くらい。美術館『アーツ前橋』着)

磯木:辻さんこんにちは!前橋って、思っていたより都内から近くて驚きました。

辻さん:そうなんです。私もよく都内の美術館や展覧会に行きますが、結構気軽な距離です。

磯木:美術館『アーツ前橋』の学芸員さんだけあって、さすがにフットワークが軽いですね!2013年にできた『アーツ前橋』は地域アートプロジェクトなどの地域と関わる取り組みもされているそうで、ぜひその辺りものちほど詳しく聞かせてください。

辻さん:はい。もちろんです。今日は美術館ゆかりの場所と人をご紹介しますね!

(アーツ前橋から歩いて約2分)



左から、辻さん、充子さん(長女)、美秋さん(三女)、つきみさん(次女)。



清潔感のある店内は奥行きがあり、書籍や自然素材で作られた服なども充実。

辻さん:こちらが自然食品店の『サンデールーム』さんです。3姉妹で自然に沿った衣食住を提案した料理教室、食事会、展示会、ワークショップなど様々なイベントを開催しています。

磯木:こんにちはー。すごく綺麗で広いお店。元気な野菜がたくさん置いてありますね。

充子さん(長女):こんにちは、よろしくお願いします!

磯木:いろいろとやられていらっしゃいますが、そもそもどういう成り立ちだったんですか?

充子さん:もともとは両親がここで小料理屋を営業していて、その定休日に次女とふたりで地元農家さんの野菜を使ったカフェを始めたのが最初ですね。それが1999年です。

磯木:そんなに前から!

充子さん:はい、それで1階を今のお店にして、2階をイベント営業のカフェにしたり洋服の展示会などをやるような場所にしたのが2014年ですね。あとから三女も入って、それから3人でやっています。



自然栽培の食材を使っての料理教室なども頻繁に開催されている。



珍しい野菜もたくさん。おいしさはお墨付きなので安心。料理の幅が広がるきっかけになりそう。

◆自然栽培の野菜に魅せられて、全国産地巡りも!

磯木:扱う野菜は自然栽培のものなんですね。

充子さん:はい。無肥料無農薬で育てられたおいしい野菜です。

辻さん:これはバターナッツかぼちゃですか?すごく大きく育ってますね!

充子さん:これは鶴首かぼちゃというものですね。きめ細やかなのでかぼちゃスープにしてもおいしいですよ。私、自然栽培のおいしい野菜に、それまでやっていたレストランから食材店をメインに変えたくらい惚れたんですよ。レストランでも使ってたけど、たくさんの人に使ってもらったらうれしいなと思って。

磯木:へえ〜。農家さんはどうやって見つけてきたんですか?

充子さん:クチコミで教えてもらったのが多いですね。でも、お店で販売するとなると野菜についてちゃんと知らないとお客さんにご紹介できないので、全国産地巡りもしています。

磯木:え!?全国、仕入れている野菜の農家さんのところに直接行くんですか?

充子さん:そうです。北海道でまだ行けていない農家さんのところもありますけど、ほとんどすべて、直接お会いしてお話を聞かせてもらってお付き合いしていますね。

磯木&辻さん:すごい…。



真ん中の肌色の長いものが鶴首かぼちゃ。文字通り、鶴の首のような形。



野菜への愛情を語る充子さん。



バックヤードではお菓子の袋詰めと縫い物の真っ最中。

磯木:3人とも方向性が合って仲良く一緒にやっているのが素敵ですね。

つきみさん(次女):…方向性、合ってるのかなぁ?大きな方向性は「自然栽培の野菜を扱う」ってことだけで、それ以外は特になにも決めてないことでうまくいってるのかもしれないです。

充子さん:あんまり姉妹という感じがしてないんですよね。3人とも視点が違うからいいというか。

磯木:そうか、ほどよい距離感がうまくいく秘訣ですね。



麦をいただく辻さん。

充子さん:『サンデールーム』では食品だけでなく衣類も置いていて、衣食住に関わることをトータルでやるのが目標なんです。アーツ前橋がテーマにしている企画展と同じなんだよね。

辻さん:そう、アーツ前橋では衣食住のそれぞれをテーマにした企画展を3年前からやっていて、ちょうど今年は「食」をテーマにして開催予定です!ところで充子さん、麦の穂ってありません?展示で使いたくてあちこち探してたんですけど、農家さんのところにも時期的になかなか無くて…。

充子さん:麦、あるよ!そういうことなら持って行って!

辻さん:ホントですか。ありがとうございます!



肩の力が抜けていて気さくな3姉妹でした。



●『アーツ前橋』
2013年10月にオープンした前橋の新しい芸術文化の発信拠点。展覧会、イベント、地域アートプロジェクトを行う。

TEL.027-230-1144
群馬県前橋市千代田町5-1-16
開館時間/11:00〜19:00(入場は閉館時間の30分前まで)
休館 水曜

●『サンデールーム』
自然栽培野菜を中心とした食材店。自然に沿った衣食住を提案した料理教室、食事会、展示会、ワークショップなどさまざまなイベントも開催。

TEL.027-231-5600
群馬県前橋市千代田町5-4-2
営業時間/月〜金 11:00〜18:00
     土   11:00〜14:00



食と地域を耕す編集者/プランニングディレクター

自然と共生する価値観と地域の可能性をテーマに雑誌媒体などに取材・執筆・企画。2013年から現場に身を投じるべく、海と里山のある千葉県いすみ市に在住。地域の営みを観察し未来をつくる書き手を増やすための合宿型ライター・イン・レジデンス「ローカルライト-地域の物語を編む4日間」を主宰し、全国で開催。石巻復興まちづくり情報交流館コンテンツ編集デスク。季刊自然栽培「見えないものを見る」連載中。近刊予定として『「小商い」で自由にくらす〜房総いすみのDIYな働き方』(2016年冬発刊予定)。