慰安婦問題をめぐり、韓国側が安倍首相に「おわびの手紙」を要求。最終決着したはずなのに「ゴールポスト」がまた動きだす様相だ。写真はソウル地下鉄構内で開催された写真展示会。

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2016年10月7日、日本と韓国の関係で韓国側が、いったん合意した枠組みをつり上げる際に使われる「ゴールポスト」。その「ゴールポスト」がまた動きだす気配を見せている。旧日本軍の従軍慰安婦を支援するため設立された「和解・癒やし財団」が安倍晋三首相の「おわびの手紙」を求め、韓国政府も同調しているためだ。

日韓関係の「ゴールポスト」は、安倍首相が昨年8月に発表した「戦後70年首相談話」に関する「21世紀構想懇談会」(首相の私的諮問機関)の報告書にも登場する。

報告書は1990年代前半から半ばにかけて河野談話、村山談話の発表や韓国人元慰安婦を対象とした女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)による事業など、日本側の和解に向けた取り組みを列記。「韓国側もこれに一定の評価をしていたことも事実である」と指摘した。

一方で「こうした経緯があるにもかかわらず、今になっても韓国内で歴史に関して否定的な対日観が強く残り、かつ政府がこうした国内の声を対日政策に反映させている」と言及。「かかる経緯を振り返れば、いかに日本側が努力し、その時の韓国政府がこれを評価しても、将来の韓国政府が日本側の過去の取り組みを否定するという歴史が繰り返されるのではないかという指摘が出るのも当然である」と述べている。

その上で「その後も、韓国政府が歴史認識問題において『ゴールポスト』を動かしてきた経緯にかんがみれば、永続する和解を成し遂げるための手段について、韓国政府も一緒になって考えてもらう必要がある。2国間で真の和解のために韓国の国民感情にいかに対応するかということを日韓両国がともに検討し、一緒になって和解の方策を考え、責任を共有することが必要である」と強調している

慰安婦問題をめぐっては昨年12月末の日韓外相会談で、日本政府が10億円を拠出し韓国側が財団を設立するとともに、韓国側はソウルの日本大使館前の少女像移転に努力することなどで「最終かつ不可逆的に解決」で合意。財団は今年7月に発足した。

首相の手紙は財団側が「慰安婦に支給される現金に添えれば反対世論を和らげられる」として発案したとされる。聯合ニュースによると、韓国外交部報道官も「日本側が被害者の心の傷を癒やす感性的な措置を取ることを期待している」と後押しした。

これに対し、安倍首相は手紙を送る可能性について、「毛頭考えていない」と否定。岸田文雄外相も「日韓合意は昨年12月に発表した通りだ。追加的な措置は一切合意されてはいない」と不快感を表明した。日本メディアは「『ゴールポスト』を動かす韓国政府の悪い癖が出始めた」との外務省幹部の話を紹介している。(編集/日向)