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IDC Japanは7日、国内におけるDevOpsの実践状況に関する調査結果を発表した。

機能をつくる開発者(Dev)チームと安定的な稼働を求める運用(Ops)チームが効率的に協力できればと思う企業は多いだろう。IDC Japanは、DevOpsを実践している企業および組織を対象としたアンケート/ヒアリング調査を2016年4月に実施(有効回答104社)。その分析結果を発表した。

DevOpsを実践する背景として、「クラウドベースのアプリケーションのニーズの増加」(28.8%)、「モバイルデバイス/アプリケーションのニーズの増加」(25.0%)が上位に位置し、特に製造/流通/サービス企業ではこれらの回答が30%以上になる。スマートフォンやタブレットなどモバイル端末の浸透が、クラウドやモバイルをベースとしたビジネスサービスの増加をもたらしている。

また、「自社でのソフトウェア内製開発への取り組み」が26.9%と高い回答率を得ており、ビジネスの差別化や競争力の強化を図るために、DevOpsの実践を試みる企業が増加している。DevOpsの推進役は、IT総責任者(CIO/CTO/IT部門長など)が36.5%、開発部門の責任者/管理者が29.8%という結果。担当者レベルでの草の根活動も非常に重要だが、DevOpsを組織全体で進めるにはトップダウンのアプローチが必要になると同社は指摘している。一定レベルのものまでは、個々の現場の踏ん張りで乗り切れるかもしれないが、数が膨大に増えてしまうと対応ができなくなる。

DevOpsを実践していく上での課題については、「IT組織が複雑な構造になっている」が25.0%ともっとも高く、各組織が複雑に分断されているため、コミュニケーションが十分に図れない。これが標準化や自動化の実現を困難にしている状況として表れているとしている。ある程度の裁量の幅がないと進めらない開発という業務と、申請・承認がベースとなる組織という構造が複雑になれば、当然大きな壁となる。

IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷 光浩氏は「企業はDevOpsを成功させるためには、まずDevOpsがしっかりと機能するような組織を作ることが肝心である。そしてDevOpsの最適なプロセスを探っていく。組織(人)とプロセスがDevOpsのために確立されれば、ツールはより大きな効果を発揮することになる」と企業におけるDevOpsの成功は、組織としていかに対応するか?が重要であることを述べている。

同社では、DevOpsの定義を"ビジネスリーダー、開発、テスト、デプロイ、運用の各チームが一体となってビジネスケイパビリティ(能力)を高め、それを発揮するための方法論と一連のプラクティス(実践)"としている。企業がスピードや生産性、品質などの能力を高めることを目標に、それを支えるソフトウェアの開発から運用までのプロセスを複数の組織/担当者が共同で取り組む方法論と実践のことを指す。

数多くのレポートを刊行し、企業におけるDevOpsの状況を調査する同社は、DevOpsを実現するために必要な要素を5つ挙げている。

• 人: 開発部門と運用部門、さらにビジネス部門が連携してDevOpsチームを構成し、プロセスの標準化と自動化に取り組む。また、DevOpsプロセスを実行するために必要なツールを使用し、ソフトウェアの問題に対応できるスキルを保有している人材がいる。

•文化: 開発と運用の担当者の間、さらにビジネス担当者も交えてコミュニケーションを図り、共通の責務と目標を持って共同作業を行う。そこではDevOpsの成果に対する統一した評価基準が設定されている。

•技術: 開発と運用の間でツールの統合や集約に取り組み、DevOpsプロセスの自動化と可視化を行う。そこではソフトウェアやサービスの品質を高めるために、継続的にツールの改善が行われている。また、DevOpsプロセスにクラウドが利用されていると、より効率的となる。

•ビジネス: DevOps戦略が企業のビジネス戦略の目標を考慮して策定されている。また、DevOpsに対する予算が明示されている。

•プロセス: 開発と運用のプロセスが統一したフレームワークによって標準化、統合化されている。開発ではアジャイルが採用され、運用プロセスとの一体化に向けた取り組みが行われている。

(長岡弥太郎)