ガン患者の多数は「年収は減ったが、金銭的に困ってはいない」

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 日本人の2人に1人はかかると言われているガン。“不治の病”というイメージはいまだに根強いが、「ガンと診断されてからも働き続けることは可能」という事実もある。治療技術が進歩している分、昔ながらの常識に促われたままでは見失うことも多い。現代のリアルなガンとの付き合い方を考えてみたい。

<ガン患者75人に聞きました>

●Q1.ガンと診断されてから、世帯収入に変化は?

・減った…43人
・変わらない…30人
・増えた…2人

●Q2.金銭的な穴を埋めるためにしていることは?

・特になし…37人
・節約…18人
・家族の援助…7人
・副業…6人
・貯金の切り崩し…3人
・引っ越し…2人
・投資…2人

●Q3.ガンと診断されてから、目立って支出が増えた項目は?(治療費以外で)

・交通費…30人
・生活費(特に食費)…8人
・特になし…20人

◆年収減が多勢を占めるもお金に困る人は少数

 ガンになるとカネがかかるというイメージは根強い。医療費はガンの種類やステージによっても異なるが、アンケートでは5割の人が「金銭的な穴を埋めるためにしていることはない」、つまり特に金銭的に困ってはいないことが判明。保険でカバーできる治療で済んだケースが大半な上、高額療養費制度(自己負担額が1か月で一定額を超えた場合、超えた分が払い戻される)の適用を受けたり、医療保険から一時金を受け取ったりした人も多く、むしろ“お金が余った”ケースさえ見られた。

「入院時の自己負担額は10万円ほど。その後は経過観察で数か月に1回検査をしているのみなので、合計15万円もかかっていないが、ガン保険で100万円の一時金が下りたので、ありがたくローンの返済に回しました」(45歳・肺ガン)

 もっとも、就労時間を減らしたり、社内でのポストが変わったりで、世帯収入が「減った」という人も半数以上おり、家計に余裕があるというわけでは決してない。

 ガンの治療には医療費以外の出費も付き物だと言われるが、なかでも目立ったのが「交通費」。「通院時の体の負担を減らすためにタクシーを利用」(43歳・膀胱ガン)という人や、なかには「東北から東京の病院まで100勸幣紊瞭擦里蠅鯆民 なるべく格安航空券を利用するようにしている」(48歳・脳腫瘍)という人も。

 次いで「生活費」がかさむようになったことを訴える声も多数。

「体形や髪形が変わるので、衣服費が増えた」(45歳・前立腺ガン)

「健康のためジャンクフードは断って大幅な食事の改善を行っている分、食費は増加」(47歳・胃ガン)

 一方で「病気になってから外を出歩かないので、まず酒代が減った」(40歳・悪性リンパ腫)といった声も多いので、そのあたりはトレードオフと言ったところか。

 もちろん「想像以上に抗ガン剤の薬代が高く、月10万円以上はこれからもかかりそう」(47歳・大腸ガン)といった切実な声もあり、楽観は許されないが、「ガンになったせいで破産寸前!」というような悲惨さはアンケートからは感じられなかった。もちろん、従来の治療法で治療が望めないガンにかかった場合に莫大な費用がかかるのは事実だが、長い人生、自分の身に起こり得るすべてのリスクに備えようとするのは現実的ではないだろう。どこかで“一線を引く”必要性を、改めて考えさせられる結果となった。

 なお、ガンの治療に際してお金に困った場合は、さまざまな救済制度が存在する。前出の高額療養費制度が有名だが、ガンになると障害年金を受給できるケースがあることは意外と知られていない。もっとも、年金未納の人は当然ながら適用されないので、ご注意を。

― [40代でガン]の実態 ―