トップ下で先発した清武はパスワークの中心になってハリルホジッチ監督の期待に応えた。(C)SOCCER DIGEST

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 とにかく勝って良かった! 選手たちには、おめでとうと言いたいね。
 
 今回のイラク戦は、絶対に勝点3を獲らなければいけない試合。ここまで苦しいゲームになるとは思わなかったけど、とにかくノルマを達成できて一安心だ。
 
 振り返れば課題が山積みだった試合だった。でも、まずはポジティブな点を先に挙げておきたい。やっぱり、この試合は中盤の出来だ。今までのゲームと違って、イラク戦は中盤でのダイレクトプレーが多かった。久しぶりに先発した柏木が良いプレーをしていたし、清武もシンプルに味方を使ってパスワークのテンポを上げていた。
 
 それに、2ボランチの柏木と長谷部のバランスも、攻守に渡って良かったと思う。いつもなら長谷部がひとりで中盤の底に残るケースが多いが、今日はお互いにバランスを取りながらプレーできていた。
 
 そのふたりの前に位置するトップ下の清武も積極的にボールを引き出していたし、他の選手が動いたらタイミング良くパスを出して周りを使っていた。だから、他の選手も淀みなく動き出せた。攻撃がノッキングせずにスムーズに連係していたのは、この3人の関係が良かったからだ。
 
 それはゴールシーンを振り返っても分かる。中盤での良いディフェンスでボールを奪ってから清武が飛び出し、一気にドリブルで相手の嫌なところに入ってサイドにスルーパス。そこから、もう一度、清武が長い距離を走ってスペースを突いた。流れるような攻撃でクロスまで持ち込んだのは素晴らしかったし、ゴール前の岡崎と原口の関係も抜群で、本当に良い形でゴールを奪えたと思う。原口の健闘も、この試合の大きな収穫のひとつだろう。
 
 ただ、やっぱり課題は、本当にたくさんある。まず気になったのは、点を取った後のゲーム運び。自分たちが1点を取った後に、畳みかけるような、迫力のある攻撃ができなかった。点を取る前までは非常に流れが良かったのに、点を取った後に迫力を欠いてしまった。本来なら2点目、3点目を取って一気に勝負をつけるのが理想的なのに……。
 その部分で攻撃をボリュームアップできなかったのが、イラク戦の一番の課題。点を取った後に自分たちのリズムを保って、さらに追加点を取りに行く。そういう部分をどうやって作り上げていくかが、今後の最も大きなテーマかもしれない。
 
 同じく見逃せないのが、失点のシーン。ベンチが交代選手を用意してバタバタしていた時に、点を取られてしまった。失点した時間帯の日本は、決して悪いリズムではなかったし、疲れている選手もそれほどいなかった。これといってチームが機能していないという感じでもなかった。つまり、あそこは動かなくてもいい時間帯だったのではないだろうか。
 
 もし、あの交代が試合前に用意したプランだったとしても、ピッチ内の状況を見て遅らせる判断だってできたはずだ。それでも交代をしたいのであれば、ピッチ内の選手たちが混乱しないように、すぐに指示を出すべきだろう。こういう厳しい試合では、流れをしっかり把握しなければいけないのに、自ら苦しくしてしまった面があると思う。
 
 イラク戦のような誰が変わってもおかしくないような展開だと、「俺、こんなに頑張っているのに代えられちゃうのかな」と選手は気になってベンチを見てしまうことがある。それで一瞬集中力が途切れ、ポカっと穴が開いてしまったエアポケットのような形で失点した印象が強い。ゲームの大事な局面で、そういう状況が生まれてしまったのは、ベンチワークのミスもあったのではないかと思う。
 
 ただ、交代出場で最後の最後に決勝点を叩き込んだ山口は、本当に良い仕事をした。本人も「チームに貢献するために何かしなければいけないと思っていた」と言っていたけど、あの時間帯に交代で入るのは難しい。同点にされた後の出場で、プレッシャーも負担もかかる。いろんな意味でのリスクを負っての出場だったので、あのゴールは本当に報われた気持ちだろう。