平日は都会で働き、週末は田舎で過ごす「二地域居住」という新しい暮らし方。東京生まれ、会社勤め、共働き、こども3人。およそフットワークが軽いとは言えない一家のドバタバタ奮闘記。毎週末、田舎と都会の往復は大変だが、それ行うだけの意味がある。やって初めてわかった効果とは?これからの新しい暮らし方を提案する『週末は田舎暮らし』から、一部を抜粋して紹介する。

◆これまでのあらすじ◆
東京生まれ、会社勤め、共働き、こども3人。「田舎素人」だが、「二地域居住」に憧れていた一家。とうとう念願の「田舎生活」もスタート。田舎でのご近所付き合い、生い茂る雑草との闘いと、田舎ならではの苦労を楽しみつつ、一家は徐々に都会と田舎を往復する暮らし方に慣れ始める。そして、この生活特有の新たな価値を見出すことに……。

大移動の週末

 週末は南房総の里山で過ごすライフスタイル。それは、週末一家大移動のライフスタイル、とも言い換えられます。避けられない用事もあって毎週とはいきませんが、それでも最低2週に一度は行けるよう、算段しています。

 多忙な夫はなかなかそうはいかなくて「よろしくな!」ということもあれば、「高速バスで日曜日だけは行く!」というときもあり。ともかくまあ、わたしが運転手かつオーガナイザーなわけです。

 金曜夜、仕事が終わり、こどもたちが保育園や学校から家に戻れば、さて、ようやくのんびりと過ごせるぞ〜と、気が抜けてだらだらしたくなるのが一般的な姿でしょう。

 ところが我が家は、金曜夜こそが大戦争です。食事もお風呂も済ませると「月曜日の支度をしちゃいなさーい!」と号令をかけます。自分もあらん限りの家事仕事を超ウルトラフル回転でこなしつつ、頭の中で週明けの予定を確認。日曜夜に帰ってばたばたしないよう、済ませることは済ませ、あちらの家でするべき仕事や雑務はまとめてメモメモ、そして荷物に放り込みます。

 こどもたちのまぶたが十分に重くなる時間になると、いよいよ移動開始です。「宿題持った?あっちで遊びたいもの持った?さ、車に乗って!」とこどもたちを後部座席に押し込みます。

 移動メンバーはその時期によって変わります。2008年からは次女のマメが増えてこどもが3人に、翌年からはネコ2匹も加わり、その他キジの子、カブトムシ、トウキョウサンショウウオなども参加履歴があります。

 あとは季節の着替えやら、カメラやら、パソコンやら、朝ごはんの食材やらといろいろ搭載し、忘れ物ないね?乗ってない子いないね?じゃあ行ってきます!と出発すると、ようやく、ひと息。

 夜、館山方面に向かう道中で渋滞することはほとんどありません。すいすいぐいぐいと運転しながら、こどもたちに「今週はどうだった?」など問いかけてみたりします。

 こどもというのは振り返りが少ないようで、今週はおろかその日のことだって一瞬の弾丸トークで終わってしまい、あとは「ねえ、明日は何する?花の種植える?海に行く?一緒に川に行ってくれる?」と気になるのは週末の遊びのことばかりの様子。

 一方わたしは、頭の中に今週の積み残し仕事などのことが霧のように立ちこめていて、運転しながらぶつぶつひとりごとさえ飛び出す始末です。「ママ、また意味不明なこと言ってる」と突っ込むこどもたちも、やがてすとんと眠りに落ち、そうなると夜のドライブはささやかな思索空間となります。

 仕事があって、こどもたちがいて、追い立てられるように過ぎる毎日の中で、自分に向き合い、考えごとをする時間というのはわたしにとっては貴重です。

 また、夫が同乗している場合は一転、車内は大人の積もる話で満たされます。

 普段はお互いに忙しくて、そして家が常にこどもたちの奇声嬌声に満たされていて、2人でゆっくりと語らう時間など滅多にとることができないのですが、南房総に着くまでの1時間半、仕事のこと、こどもたちのこと、世の中のこと、将来のこと……闇に浮かぶ山の端を見流しながら四方山話が咲き乱れます。

 こどもたちのウフフ話などは後部座席を振り返り「みんな寝てるね」と確認してからしゃべるのですが、たまにふっと気配を感じると、薄目をあけてじぃーっと聞いているポチンと目が合ったり。

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