柳原陽一郎

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 縦と横。物事の楽しみ方というのは、おおむねこの二方向であるような気がする。

 たとえば小説や音楽なら、いいなと思った作家やアーティストの作品を網羅していくのは「縦」であり、好きな作家やアーティストがリスペクトする作品に食指を動かしてくのは「横」といえる。

 とくに音楽では、さまざまな「横」の楽しみ方がある。カバー、トリビュート、コラボレーションといったテーマによる作品はもちろん、ライブでいうならフェスや複数の出演者がいるイベントなども「横」である。趣旨に賛同して実現したイベントの場合は、まさに「横」のなかの「横」。結果、通常の活動では見えなかった共通項が、図らずも浮き彫りになったりする。

 そういう「横」イベントでのオススメをひとつ。

 昨年の夏に第1回目が行われたイベントなのだが、これが観ているだけで、聴いているだけでい〜い気分になる素晴らしいイベントだった。企画を立てたのは柳原陽一郎。うん……?と思ったアナタ、平成が始まった頃のバンドブームの立役者ともいえる「たま」といえば、記憶にある方も多いのではなかろうか。その「たま」の代表曲『さよなら人類』を歌っていたのが、柳原陽一郎(当時の名前の表記は柳原幼一郎)。「たま」を1995年に脱退して以降はソロのシンガーソングライターとして活動してきた人だが、ちょっとシニカルだったり、ジワ〜っと温かかったり、思わず笑ってしまうお馬鹿な切り口だったり……、まぁとにかく歌の守備範囲が広い広い。ここ最近は『三文オペラ』を全曲訳して、ジャズバンドと一緒にウィーンまで演奏しに行っていたというから驚きだ。

 そんな自由自在な歌心ある人ゆえ、「もっともっと音楽をいろんな人と楽しみたい」と思うのも自然の成り行き。2015年のデビュー25周年を機に、ライブイベント“ピテカントロプスになる日”をスタートさせた。ハンバートハンバート、イエローパープル、おおはた雄一という強者ぞろいの共演者を迎えた前回イベント、なんといっても目玉は出演者同士のセッションだった。出演者が入れ替わるタイミングで、まるでリレーのように柳原を交えお互いの曲をセッションして出演者が替わっていく。それぞれのライブはそれぞれに素晴らしいものであったが、「演奏される曲への愛情に、ただただ心温まるばかり」と絶賛されたセッションが本当によかった。声が変われば曲の色合いが変わり、曲の色合いが変われば曲そのものが新しいイメージに生まれ変わる。そういった新たな曲として生まれ変わる瞬間に立ち合える喜びが、披露された演目のほぼ半数を占めていた。このままカバーアルバムかコラボレートアルバムとしてリリースしていただけませんかね、とお願いしたいくらいの素晴らしさだった。

 そのイベントが今年も開催される。題して『ピテカントロプスになる日 vol.2〜Woman Sings “やな” Song〜』。今回は超個性的な女性アーティスト2人を迎えてのライブだそうで、ひとりはクラシックギターと歌で幻想的な世界観を作りあげる青葉市子。そしてもうひとりが魂を揺さぶる唯一無二の歌で、音楽ファンのみならず多くのミュージシャンからも支持を得ている小谷美紗子。三者三様どころではない3人によるライブがどういうものになるのか、どんなセッションが繰り広げられるのか。心躍るどころの話ではないが、必ずや、こちらの予想を遙かにしのぐものになるに違いないことだけはわかっている。こんな「横」楽しみのライブは、そうそうお目にかかれるものではない。観客も一緒になって音楽を共有できるぜいたくなライブ、ぜひともご参加あれ!!

ピテカントロプスになる日 vol.2〜Woman Sings “やな” Song〜
2016年10月17日(月)渋谷 duo MUSIC EXCHANGE
共演)青葉市子/ 小谷美紗子
開場 18:30 / 開演 19:00
前売 3,500円 / 当日 4,000円(税込み、ドリンク代別途)
会場HP : http://www.duomusicexchange.com
イベント詳細ページ : http://musicforlife.co.jp/prdct/event/16/161017.html
問) Music For Life:03-5738-8035(平日 11:00〜18:00)

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