本田はまたも後半途中に失速。90分間の計算が立たない選手が、特にアタッカーで目立ってきた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 辛うじて「劇的」な勝利を収められた。でも、「劇的」になってしまったことが問題だよ。すでに最終予選で2連敗してタイと並んで勝点ゼロに沈み、しかもリオ五輪世代が中心の若いイラク相手に、ホームでここまで苦戦してしまったんだからね。
 
 山口のシュートは見事だった。でも、いつの間にか土俵際まで追い込まれて、なんとか凌いで、最後に投げ技が飛び出した。そんな感じだったよね。イラクは守備を固めてカウンターを狙ってきたわけではなかった。真っ向勝負を挑んできて、日本が防戦になる時間もあった。近年のアジアの国との対戦とは、また異なる傾向が見えたと思う。
 
 監督の采配にもゆとりがなかった。1-1で迎えた最後の選択肢が、センターバックの吉田を前線に上げるというパワープレー。まだ最終予選の3試合目だよ? もう攻撃のレパートリーが“品切れ”になってしまったような気がするよ。試合を重ねるごとに、貫禄が感じられない日本代表になってきているよね。
 
 この日の審判はちょっと日本寄りだった。原口の先制点もオフサイドを取られていてもおかしくはなかった。先のUAE戦でいろいろ誤審騒動が起きたけど、サッカーはこうして「運」が味方になることもあれば、ならないこともある。今回、日本が得をしたということは間違いなかった。

 ただ、日本が一番感謝すべきなのは、イラクのGKだろうね。時間を使ってイエローカードを受けて、アディショナルタイムは6分。結局、この長い時間が、日本に幸いしたんだからね。
 
 客観的に考えてみても、本来であれば勝点3が計算できる相手だったはず。でも、そんなイラクにも差をつけられなかった。相手はまだ伸びしろのある世代が中心だけど、日本は相変わらず後半にスタミナが切れてしまう世代ばかり。

 後半20分を過ぎて、急速に運動量が落ちてしまう。中心選手が揃って90分間、体力が持たなくなっている。これは実はかなり深刻な問題だと思うよ。
 
 
 次は11日にアウェーでオーストラリアと対戦する。今回勝ったことで、「引き分けでもOK」という状況には持ち込めた。ただし、負けてしまったら、今日の「劇的」もなんの意味も持たなくなってしまうよ。ワールドカップ出場を見据えるのであれば、やはり日本より前を走ってきたオーストラリアとサウジアラビアとの勝点を常に気にしなければいけない。
 
 ハリルホジッチ監督の進退問題を騒ぐ声も、これでひとまず沈静化するだろう。首の皮一枚がつながった状況が続くね。
 
 とはいえ、内容だけで判断して、「勝って良かった、一件落着」と単純に片付けてしまっていいものか分からない。

 このあとの最終予選でも同じような内容を伴わない試合が続いて、何度か「劇的」な展開があって、それでワールドカップに出場できたとする。でも、それでは刺激的なお祭り騒ぎが連続するだけで、「内容」を伴っていないかもしれない。そのあたりをしっかり見つめていかないと、結局、ブラジル・ワールドカップの惨敗の反省を、何も生かせなくなってしまうよ。
 
 
 オーストラリア戦の結果によっては、また監督の進退問題が浮上しそうだ。ただ、監督交代はカンフル剤になるかもしれないけど、全盛期の香川や内田が活躍していたころに続く、チャンピオンズ・リーグのピッチにコンスタントに立てるレベルの選手が育っていない。その選手層の本質の問題から目を逸らさないことが大事だよ。
 
 ここからは選手層も試される。11日のオーストラリア戦には酒井宏樹が出場停止で出られない。他にもイエローカードを1枚もらっている選手が3人いる。