後半アディショナルタイムに劇的ゴールを決めたMF山口蛍

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[10.6 W杯アジア最終予選 日本2-1イラク 埼玉]

 日本代表は6日、W杯アジア最終予選でイラク代表と対戦し、2-1で競り勝った。前半26分、カウンターからFW原口元気が2戦連発となる先制点。後半15分にセットプレーから失点し、同点に追いつかれたが、後半アディショナルタイムに途中出場のMF山口蛍が劇的な決勝点を奪った。ハリルジャパンはホーム初白星。2勝1敗の勝ち点6とし、11日にはアウェーでオーストラリアと対戦する。

 日本は9月6日のタイ戦(2-0)で出番のなかったFW岡崎慎司、MF清武弘嗣、MF柏木陽介が先発に復帰。タイ戦に先発したFW浅野拓磨、MF香川真司、山口はベンチスタートで、トップ下には清武が入った。[スタメン&布陣はコチラ]

 9月1日のUAE戦に1-2で敗れ、まさかの黒星スタートとなった最終予選。2試合連続でホームで勝ち点を落とすわけにはいかない背水の一戦は、開幕2連敗であとのないイラクにいきなりチャンスをつくられた。

 前半3分、MFアハメド・ヤシーン・ゲニの左CKにMFサード・アブドゥルアミールが競り合いながらバックヘッド気味に頭で合わせると、右ポストを直撃。同5分にはMFアムジェド・アットワン・カディムが左足でミドルシュートを打ったが、GK西川周作が正面でキャッチした。

 開始早々、ヒヤリとさせられた日本だが、徐々に落ち着きを取り戻し、前半11分には柏木の縦パスを受けた岡崎のポストプレーから清武が左足でミドルシュート。これはGKのセーブに阻まれたが、前半26分、鮮やかなカウンターで先制点を奪った。

 自陣でボールを奪った原口が清武に預けると、中央をドリブルで駆け上がる清武は右サイドのFW本田圭佑に斜めのパスを通し、そのまま猛然とダッシュ。右サイドに膨らみながら本田の背後を追い越した。本田は相手を引き付けて清武にパス。オフサイドラインぎりぎりから飛び出した清武の折り返しをニアに走り込んだ原口が右足ヒールで流し込んだ。原口、清武ともに自陣から約80mを一気に駆け上がる高速カウンターが生んだ芸術的な先制点。原口はタイ戦に続いて2試合連続ゴールとなった。

 直後の前半27分、清武がPA内で浮き球に競った際、腹部を相手に蹴られ、ピッチに倒れ込むアクシデント。一度は担架で外に出たが、約4分後にプレーに戻った。前半アディショナルタイムにはイラクが中盤でパスをつないで右サイドに展開。ヤシーンの右クロスにFWアラー・アブドゥルゼフラが右足ボレーで合わせたが、西川が落ち着いてキャッチし、前半を1点リードで折り返した。

 先制後、なかなか攻撃の形をつくれない日本。ベンチでは山口が交代の準備をしていたが、そのさなかの後半15分、イラクは左後方からヤシーンがFKを蹴り込み、酒井高に競り勝ったアブドゥルアミールがヘディングでゴール左隅に流し込んだ。

 1-1の同点に追いつかれた日本は山口の交代をいったん取りやめる。後半19分、清武の右CKに合わせたDF吉田麻也のヘディングシュートはクロスバーの上へ。後半21分にはDF酒井宏樹がイエローカードを受け、累積警告で11日のオーストラリア戦は出場停止となった。

 後半22分、一度は交代を待った山口を柏木に代えて投入。同24分には左45度の位置から清武がFKを蹴り込んだが、そのままゴール右へ外れた。後半30分、2枚目のカードを切り、岡崎に代えて浅野をピッチに送り込む。必死の攻撃でイラクを押し込むが、同35分、原口の左クロスに合わせた本田のヘディングシュートも左ポストを叩いた。

 日本は後半36分、本田に代えてFW小林悠を投入し、交代枠を使い切った。終盤は吉田もゴール前に上がるパワープレーを仕掛け、後半45分にはロングボールを吉田が頭で落とすが、浅野はシュートを打ち切れない。引き分け狙いのイラクは巧みに時間を使って時計を進めるが、後半アディショナルタイム5分、清武の左FKのセカンドボールを山口が右足ダイレクトボレーで蹴り込み、26歳のバースデーに劇的な決勝点。2-1で競り勝ち、土壇場で最終予選ホーム初勝利を挙げた。

(取材・文 西山紘平)


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