中国はこれまで人件費をはじめとする各種コストの安さを活かして世界中から企業を誘致し、世界の工場としての役割を担ってきた。しかし、近年は人件費をはじめとするコストが上昇したことで、中国国内で製造するコストメリットが失われており、中国から東南アジアに工場を移転させる企業も増えている。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国はこれまで人件費をはじめとする各種コストの安さを活かして世界中から企業を誘致し、世界の工場としての役割を担ってきた。しかし、近年は人件費をはじめとするコストが上昇したことで、中国国内で製造するコストメリットが失われており、中国から東南アジアに工場を移転させる企業も増えている。

 中国政府は「中国製造2025」と呼ばれる製造業の高度化に向けた計画を打ち出したが、中国メディアの一点資訊はこのほど、中国の製造業はまだ世界三流の水準であるのに、もう外資の撤退が始まってしまったと危機感を示す記事を掲載した。

 記事は、中国経済の成長率が低下するなか、不動産バブルによって地代家賃が高騰しており、製造業にとっては苦しい環境となっていることを指摘。さらに、中国の製造業は中国人が思っているほど「競争力があるわけではない」と指摘したうえで、付加価値の高い製品を作れるようになる前にすでに大手の外資メーカーが撤退を始めたと論じた。

 続けて、中国工業和信息化部の関係者が2015年11月に世界の製造業を4段階でレベル分けした場合、中国は3段階目に位置しており、「短期間で状況は変わらない」との見方を示していたことを指摘。中国製造業が高度化を実現し、世界的な競争力を持つためには「あと30年は努力し続ける必要がある」と指摘した。

 また記事は、中国の製造業にとって欠けている点として「イノベーション能力」のほか、「基幹技術」や「製品の品質」を挙げた。さらに、構造的な問題として「労働集約型の製造業では生産能力が過剰となっているうえに、知識集約型では技術そのものが不足している」と主張し、外資メーカーが撤退しているばかりか、中国では各地で工場の倒産が増え、多くの失業者が街にあふれていることを伝え、危機感を示した。

 日本の経済界訪中団が中国側に対して企業の撤退を統一的に処理する窓口の設立を求めたという報道が中国で大きな注目を集めているが、こうした話題に敏感に反応するのも、中国が危機感を持っているからに違いない。中国製造業の高度化が実現するのが先か、外資の撤退によって空洞化が起きるのが先か、注目が集まっている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)