「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」放送記念!現役校閲担当者に話を聞いてみた

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新聞や雑誌をはじめ、出版物に欠かせないお仕事に校閲がある。字の誤りを指摘するという縁の下の力持ち的な役割で、脚光を浴びることはまずない……と思っていたら、その校閲にスポットを当てたTVドラマがスタートした。実情をある程度知っている業界人の一人として視聴者の興味を引くストーリーがちゃんと展開していくのか心配になるが、これを機にふだん接することはまずない、校閲というお仕事を紹介しよう。

■見落としがなくて当たり前

校閲にスポットを当てた珍しいドラマとは10月5日からスタートした「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」(日テレ系列、水曜午後10時〜)。ファッション雑誌を編集する気まんまんだった石原さとみ演じる主人公は校閲に配属され、「なんで私が校閲なの」と悲しそうに声を絞り出す。

校閲とは原稿が出版物として世の中に出る前に、誤字・脱字のほか内容の誤りや矛盾を指摘し、不完全な商品が出回るのを防ぐ仕事とされる。スキルを要する仕事であり、主人公も堂々と職務に当たればよいと思うのだが……。

「見落としがなくて当たり前。たまにミスすれば訂正を出したりと大事になる。ありがたがられることが少なく、常に煙たがられ、軽んじられてきました」。大手新聞社で校閲を担当する男性は涙目で苦労を語る。

いい大人がいきなり泣き言かよ、と少し呆れてしまったが、「間違いを指摘されて、素直に『ありがとう』と言える記者は多くありません。むしろ恥をかかされたと感じて逆ギレしてくる人もいます」と恨めしそうな表情で訴える。うーむ、それはストレスがたまりそうだ。

■現場に赴き疑問を解決!そんなこと現実にある??

ドラマでは主人公の校閲ガールが小説の内容の矛盾を作家本人に指摘したり、事件記事の瑕疵を証明するため現場に赴いたりと疑問をアクティブに解決するのだが……。

「絶対にあり得ません! それは編集者や記者の仕事。僕たち校閲が外に出て再度取材するなんてできっこないっす! ちょっと考えれば分かるでしょ。取材した記者に話したことを改めて校閲の人にもう一度確認されたら鬱陶しいじゃないの」

現役の校閲担当者は恨めしそうな表情で訴えた。

■全員メガネで地味な服装、薄毛が偉くなる?

ドラマはあくまでフィクション。実態とはまるで違うのか……。

「そうでもないですよ。会社の隅っこの薄暗がりというか、誰も気づかないようなところに部屋があったり(ドラマでは地下)、部員全員がメガネで服装が地味だったりという部分はとてもリアルです」(現役の校閲担当者)

な、なるほど。

「あとね、これはドラマとは違うんだけど薄毛の人が多い。偉くなる人は特に、ね。人より頭を使うからかなぁ」と年齢の割に寂しくなった頭部を嬉しそうにアピールされてしまったが、そこは華麗にスルーし、校閲の仕事についてアピールをお願いしてみた。

「印刷のために活字を一つずつ拾っていた30年ほど前は誤字脱字が多く、校閲記者は大活躍でした」と、現役校閲担当者は遠い目をし、「いまは文章の誤りを見つけるソフトもあり、同音異義語の変換ミスがあるくらいで校閲マンの目線もかなり変わってきました」と続けた。そして「誤字・脱字がほとんどないぶん、内容に踏み込んだ指摘も増えてきました。ドラマのように校閲記者が記事を検証するなんて時代が来るかもしれませんね」と締めくくった。

最後はビシッと決めた姿にプロとしてのプライドが垣間見えた気がした。なんだかんだでやはり縁の下の力持ちとしての自負があるのだろう。ぜひこれからも毒を吐きながらも、仕事はビシッとがんばってほしいものである。

なお、「教えて!goo」では「新聞社の校閲業務について教えて下さい」ということで投稿された質問と回答を紹介中だ。

(武藤章宏)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)