専門誌では読めない雑学コラム
■木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第74回


 仕事柄、海外でもたくさんゴルフをさせていただきました。海外に行くと観光気分になるのか、スコアはさっぱりですが、楽しいラウンドばかりです。数ある海外ゴルフの中で、面白かったものをいくつか紹介したいと思います。

 まずは何と言っても、最近急成長している中国市場の話は外せません。過去20年近くの間に5回ぐらい中国に行っていますが、次第にお金持ちになっていく国の姿が見られて、そのつど面白かったです。

 最初に中国でゴルフをしたのは、およそ20年前。香港経由で深センに行きました。

 驚いたのは、深セン駅についた瞬間、現地のお兄ちゃんたちが寄ってきて、勝手にキャディーバッグを持ち去ってしまったこと。「やばい」と思ったんですが、実は彼らは個人ポーターをやっていて、いくばくかのお金を払えば、荷物を運んでくれる人たちだったのです。あ〜、一時はどうなるかと思いましたよ。

 その後、現地ガイドと合流すると、すかさず「チンモッコウ先生のコースへ行きましょう!」と誘われます。「それは、誰ですか?」と聞くと、「知らないの? チン先生は日本の有名なプロゴルファーよ」と、ガイドさん。

 ん? 陳清波プロ(ちん・せいは/1931年生まれ。台湾出身。昨年、日本プロゴルフ殿堂入り)かと思ったんですが、なんと世界の青木功プロのことでした。確かに、中国読みでは「チンモッコウ」ってなりますよね。

 実際、深センゴルフクラブのABコースは青木功プロが設計していて、もはやどんなコースだったか忘れてしまいましたが、日本ぽかったなぁ〜、というのは覚えています。

 昔の深センは、かなり"田舎感"が漂い、食事もイマイチでした。ところが、ミレニアムを過ぎてから、香港と見分けがつかないほど立派になって、食事も美味しくなり、ゴルフ場もどんどん増えていったのです。

 そして、2度目の深センでは、世界最大級の『ミッションヒルズ』というコースを訪問しました。なんと12コース、216ホールですから、日本屈指の『軽井沢72コース』どころの規模ではありません。世界の名だたる設計家が競ってこしらえたコースで、あまりの広さに、何だかよくわからない状態でした。

 練習場に行くと、大型のベンツで乗りつけてきた、いかにもバブルって感じのオジさんが、携帯電話を首にあてがって喋りながら練習を開始しました。何やらがなりたてながらも、クラブを持ってテークバックに入ると、ものの見事に空振り。まさか志村けんさんのコントみたいなことを本当にやってくれるとは......。まあ、2000年代を迎えた当時、中国の方にとってはゴルフをやることが"富"の象徴だったんですね。

 続いては、「ゴルフ大国」アメリカでのお話をしましょう。

 ゴルフ取材のついでに、西海岸のタイガー・ウッズの生家を見に行ったことがあります。アメリカにしてはこじんまりした文化住宅でしたが、家の前に立って「ここでタイガーは生まれ育ったのか」と思うと感慨もひとしおでした。

 学生時代のタイガーが、TN(トミー・ナカジマ)ブランドの日本製アイアンを使っていたのは有名な話ですが、練習グリーンも実は日本仕様でした。日本資本のコースがタイガーの家の近くにあって、グリーンのタッチが繊細なのが気に入ったようで、試合前などにはわざわざやってきて練習していたそうです。私もそこのコースでやってみましたが、日本のコースによくあるベントグリーンって感じでした。

 アメリカでのエピソードは満載です。

 オーランドのディズニーワールドのゴルフ場でプレーしたこともあります。ミッキーマウスのデザインのバンカーが面白いとか言っている矢先にブッシュにボールを入れたら、そこは沼地で、なんか薄気味悪さを感じましたね。「ひょっとして、ワニでも出るんじゃないの」なんて。

 そうしたら最近、本当にワニが出てきて人を襲う騒ぎが起きたというから、びっくり仰天。あのとき、せこい真似してボールを拾いに行かなくてよかったな、と今になってホッとしていますよ。

 アメリカンなゴルフの特徴は、ボールをあまり探さないことです。グアムの有名リゾートに行ったときも、みなさん、フェアウェーからわずか1mほどのラフに入ってだけでもボールを探さずに、その脇にボールをドロップして打っていました。

 私は「もったいない。ボールはあるだろう」と思って探しに行くと、確かにボールはありました。それも、5つも、6つも。みんな、ボールを探さないから、逆にラフの中はボールだらけになって、ますます探せなくなっているんですね。いやぁ、参った......。

 アメリカでは、知らない人たちと組み合わせでラウンドすることが結構あります。それでも、一緒に回る人たちは、みんな陽気です。しかも、あんまりうまくないんです。

 おおよそ彼らは、朝イチの最初のティーショットでは2回打って、いいほうのボールを選ぶ"マリガン"をやっていました。それを見たときは、文化の違いを感じましたね。ともあれ、郷に入れば郷に従えと、こちらもマリガンをやってみました。これは、朝から嫌な気分をしなくていい、ナイスアイデアです。

 そうそう、だいぶ前の話ですが、友だちがアメリカでラウンドした際、超有名セレブと一緒の組み合わせになったと自慢していました。聞けば、なんと世界的なミュージシャンのジョン・デンバー(1997年に死去)がひょっこり同じ組に入ってきたんだとか。

 実にうらやましい。すごく得した気分になったんじゃないですか。私も日本では、前の組が小泉首相ってことがありましたが、そのときはSPがぞろぞろいて、ただただ緊張しただけでしたけど......。

 とにかく、アメリカに行ったら、ぜひ組み合わせでラウンドしましょう。思わぬ人と出会えるかもしれませんよ。

■木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa