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北海道大学(北大)は10月5日、風邪薬の成分である非ステロイド系抗炎症薬「フルフェナム酸」が、膀胱がんでアルドケト還元酵素を阻害することで転移をおさえ、なおかつ抗がん剤に対するがんの抵抗力をおさえることを発見したと発表した。

同成果は、北海道大学大学院医学研究科腫瘍病理学分野 田中伸哉教授、腎泌尿器外科 篠原信雄教授らの研究グループによるもので、10月4日付の英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

膀胱がんは、何度も再発を繰り返すのが特徴で、深さが浅いがんと膀胱の壁の筋層に到達する深い浸潤がんに分けることができる。浅いがんは予後が良好だが、浸潤がんは肺などに転移しやすく予後不良であるため、効果的な治療法の確立が求められている。

今回、同研究グループは、ヒト膀胱がん細胞UM-UC-3を蛍光でラベルをして、マウスの膀胱に移植し、膀胱がんモデルを作成。移植から45日後に、肺転移、肝臓転移、骨転移が確認されたため、原発巣としての膀胱、転移先としての肺、肝臓、骨からそれぞれがん細胞を取り出し、転移したがん細胞でだけ高い発現を示す分子をmRNAマイクロアレイ法を用いて網羅的に検討した。

この結果、転移したがん細胞ではアルドケト還元酵素が増加していることを発見。さらに、実際の膀胱がん患者の手術症例25症例の病理組織を調べたところ、転移先でのアルドケト還元酵素の増加が確認され、実際にヒトの体の中でもマウスモデルと同じことが起こることがわかった。

また、アルドケト還元酵素は、がん細胞の動きを高めることと、抗がん剤に対する抵抗力を高めることの2つの働きでがんの悪性化の力を強めることがわかり、この酵素を阻害するフルフェナム酸が、がんの治療薬として有効であることが明らかになった。

フェルナム酸は風邪薬の成分であり、同研究グループは、フルフェナム酸を抗がん剤と同時に使うことで、膀胱がん患者の予後を改善するための臨床研究が進むことが期待されるとしている。

(周藤瞳美)