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金融機関で契約社員として働く女性の秘密は、身体にこっそり入れた「タトゥー」。しかし、何者かによって職場にタトゥーがあることを密告されたため、「契約を解除されそう」と、弁護士ドットコムの法律相談に質問を寄せました。

女性によれば、「匿名で写真同封の投書」で密告され、「それ(タトゥー)が原因とははっきり言われませんでしたが、次期は契約を解除されそうです」。

タトゥーを理由に、契約更新をしないことに問題はないのでしょうか。また、匿名の会社への密告に、法的な問題はないのでしょうか。上林佑弁護士に話を聞きました。

 ●更新拒否が無効となるケースは?

期間の定めがある労働契約(有期労働契約)について、使用者が更新を拒否した場合には、期間満了によって終了するのが原則です。

しかし、労働契約法19条により、一定の場合には、この使用者の更新拒否(この更新拒否を、「雇止め」といいます)を無効とするルールが確立しています。

一定の場合、とは次のいずれかの場合を指します。

(1)過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの

または

(2)労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの

これらについては、使用者が更新を拒否することが「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、認められません。この場合、従前と同一の労働条件で、有期労働契約が更新されます。

本件において、相談者と勤務先企業との間の有期労働契約が、上記(1)か(2)に該当するものであれば、勤務先企業が雇止めを行うためには、客観的にみて合理的な理由が必要です。かつ、雇止めという措置が社会通念上相当といえなければなりません。

 ●「タトゥーがある」は雇止めの合理的な理由になる?

タトゥーの存在を理由に雇止めをすることは、客観的に見て合理的な理由があるとは言えないと考えます。

相談者のタトゥーは、身体にこっそりといれたものであり、普段の業務に際しては、見えない位置にあるようです。他者から見えない位置にあるタトゥーであれば、業務上支障が生じるなどの悪影響があるとは言えないでしょう。

そのため、勤務先企業による雇止めは無効であり、従前と同一の労働条件にて、有期労働契約の更新がされることになると思われます。ただし、「それ(タトゥーがあること)が原因とははっきり言われませんでした。」ということですので、他に合理的な理由等がある場合は、この限りではありません。

 ●損害賠償請求は?

では、タトゥーについて情報を寄せた匿名の人物の行為は、どう判断されるべきなのでしょうか。

タトゥーに対しては良い印象を持つ人が決して多くないのが実情です。相談者がタトゥーを入れているという事実を、第三者が職場に告げられたことで、社会的評価を下げられた(名誉棄損)として、不法行為(民法709条)に該当する可能性があると思われます。

また、他人に知られたくない個人の秘密を不当に明かされ、損害を被ったとして、プライバシー侵害にも該当し得るかと思われます。こちらも、民法709条の不法行為にあたります。

密告した方を特定することができれば、不法行為に基づく損害賠償請求をすることが可能です。



【取材協力弁護士】
上林 佑(かみばやし・ゆう)弁護士
仙台弁護士会所属。労働問題を中心に、その他企業法務一般、交通事故、知的財産権等、広く取り扱っている。
事務所名:三島法律事務所