前線の3枚は、右に本田、中央に岡崎、左は原口元気という編成が現実的だろう。
 
 多くの欧州組がクラブでレギュラーの座を掴めていないなか、原口はヘルタ・ベルリンで、もはや代えの利かない存在となっている。先発したタイ戦では貴重な先制弾を決めているなど、指揮官も良いイメージを持っているはずだ。
 
 CFは若い浅野の台頭が目覚ましく、その勢いは岡崎に肉薄しているとも言える。それでも、得点以外の部分での貢献度が高い岡崎を凌駕するほどではない。練習中の何気ない動作ひとつとっても、岡崎は身体がキレている印象で、待望の“代表通算50得点目”も生まれそうな気配がある。
 
 右ウイングは、いくらミランで不遇をかこっているとしても、本田をベンチに追いやるのは得策ではない。ゴールを決めたUAE戦では、勝点獲得には導けなかったとはいえ、最後まで身体を張ったプレーで頼りになる働きを見せていた。困難な時ほど、力を発揮する精神的支柱は、できるだけ長くピッチに立たせておくべきだ。
 
 これ以上は負けられないイラクは引き気味に構え、一瞬の隙を突いて鋭利なカウンターを繰り出してくることが予想される。清武も「中東のチームは一発がある」と警戒する。日本が攻めあぐねる展開だと、ゲームはますます難しくなるだろう。早い時間帯に先制し、前に出てきた相手の背後を突いて、効率良く追加点を奪えれば勝機はグッと高まるはずだ。
 
 最終予選で“ホーム2連敗”は絶対に避けなければならない。勝点3が最低限のノルマ。停滞感が漂うハリルジャパンは意地を見せられるか。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)