松屋銀座などの有名百貨店でオリジナルブランドを展開する株式会社VONDSの鈴木悌遍氏。https://vonds.jp/

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 あいにくの台風の影響で大雨に見舞われたエリアもあったが、シルバーウィークに当たる今年の「敬老の日」、全国の百貨店やショッピングモールでは、お年寄りをはじめ、子や孫も含めた「3世代」すべてを取り込もうと、多くのイベントやセールが催された。

「本来なら『敬老の日』の主役はお年寄りですが、連休を利用してご実家に3世代が集まった機会に、お孫さんにランドセルをプレゼントされるお祖父さんお祖母さんもたくさんいらっしゃいましたよ。みなさんで売り場を訪れ、お孫さんとじっくりコミュニケーションを取りながら選ばれている光景をよく見かけました」

 シンプルでありながらデザイン性の高い機能的なランドセルを数多く手掛け話題となっている、株式会社VONDS代表取締役の鈴木悌遍(ともとお)氏がこう話すように、ランドセル市場を取り巻く環境は大分様変わりしたようだ。

「ここ数年、『ランドセル商戦が前倒しされている』とさかんに報じられているとおり、私どもの会社にも、今年3月の時点で『再来年の春に向けて購入したいので、実際にランドセルを触れる場所を教えてほしい』といったお問い合わせもあるほど。今年のランドセル商戦はこれまででもっとも早く、GW前から始まってお盆休みに一度ピークを迎え、『敬老の日』、そして今月には『孫の日』(10月第3日曜日)も控えています。クリスマスセールはもちろん、年末年始にかけては3世代が一堂に会す機会も増えますし、そういった意味では“前倒し”というよりも“長期化”してきた……と言えるかもしれませんね」(株式会社VONDSの鈴木悌遍氏)

 2015年8月、電通総研の「高齢者のライフスタイルと消費・働き方」調査によると、祖父母が孫のためにかける「年間支出額」は平均24万6000円。同年6月に行った三菱総研の調査を見ても、「3世代消費」の市場規模は実に3兆8000億円になるというから、ランドセル業界が、お祖父さんお祖母さんの財布をあてにするのは当然の帰結と言えるかもしれない。

 価格帯もかなり幅がある。大手ランドセルメーカー「フィットちゃん」が公表している人気の価格帯は、トップが「4万円〜4万9999円」。「天使のはね」で有名な大手「セイバン」の2017年度版人気モデルでは、おとぎの世界をイメージさせる光沢感あるパールの生地を使用した「モデルロイヤル・レジオ プリンセス」がもっとも人気だが、こちらの値段は7万3440円となっている。下は1〜2万円台から、上は10万円を超える商品も多く、アマゾンのラインナップを見ると、最高値はイタリアのレザーブランド「PERONI」の純金装飾入りハンドメイド・ランドセル「Peroni Zainetto Randoseru」(ブライアーブラウン)で、実に17万2800円の値がつけられているほどだ。鈴木氏が続ける。

「オリジナルブランドを持つ大手流通グループ『イオン』が、2001年に業界初の24色ランドセルを発売したことで、『ランドセルは黒と赤』という固定概念が崩れ、今ではデザイン、色、飾り、刺繍、機能……など、個性的なランドセルが増えたこともあって、お客さまの側もじっくりと時間をかけて選ぶようになったと思います。ただ、ヴィジュアルはもちろん、価格帯も多様化したことで、商品開発にかかる時間やコストもかさみ、それがランドセル商戦の“長期化”を招いているのかもしれませんね。実際、私どものライナップのなかでも、製作に10か月かかってしまうランドセルもありますし、最近ではこの時間のギャップを効率化するために、『早期予約割引』や『期間限定早割』を導入している会社も多いのです」

 鈴木氏の話すように、「早割」のサービスはランドセルメーカー系、量販店系、工房系……を問わず、多くのメーカーが取り入れており、漏れなくネームプレートとネーム入れのサービスがついてきたり、マスコットキャラのプレゼント、さらには、ポイント還元といった特典を設けているメーカーもあるようだ。